世界中で大ベストセラーとなったロバート・キヨサキの『金持ち父さんシリーズ』第三弾。
前作の『金持ち父さんの投資ガイド 入門編』に続く本作では、いよいよ究極の投資家になるための具体的なプロセス、自分のビジネスを起こし、B-Iトライアングルによってそれを強固なものとし、最終的には株式公開をして富を社会に還元するまで、が語られる。
この本では、主に資産を作り出す方法についてお話しする。金持ち投資家になるためには、アイディアを資産に変える技術を持っていることが重要だ。富を生み出すプロセスは、物理的なプロセスというよりはむしろ精神的プロセスだ。アイディアを大きな富に変えるのに大事なのは強い精神力である。
金持ち投資家になるためには、以下の3つのEが必要。
そして、金持ち父さんによれば、投資家の種類は5つある。
第二ステージでは、この5種類の投資家について長所や短所を含めた違いを説明する。私は、インサイド投資家になることを目指したが、私が選んだ道が必ずしもあなたにとって最良の道とは限らない。タイプの違う投資家をそれぞれ学ぶことによって、自分に合うゴールを選ぶことができるだろう。
適格投資家は、大金を稼いでいるか、多くの資産を持っている人である。証券取引委員会(SEC)による定義は以下の通りだ。
適格投資家が、3つのEのうち有しているのは「ありあまるお金」だけだ。適格投資家は、適格投資家や洗練された投資家以外には許されていないある種の証券に投資することができる。しかし、適格投資家であっても、正しい知識を持たないと、最良の投資のチャンスは得られない。
専門投資家は、投資についての知識をある程度持っていて、ファンダメンタル投資とテクニカル投資の違いを理解している人だ。
専門投資家はファンダメンタル投資とテクニカル投資の両方を理解する必要がある。専門投資家になると儲けられる可能性は高くなるが、経験の浅い投資家の場合、市場の暴落や下落相場では感情的パニックに陥ってしまう。
3つのEのうち、持っているのは教育とありあまるお金(場合によって)だ。専門投資家は、暴落があっても冷静さを保ち、賢く投資する方法を学ぶ必要がある。多くの人が金持ちになるのは、大暴落の時なのだ。
洗練された投資家は、専門投資家と同じ知識があり、さらに税法、会社法、証券法に通じている。法律の基本を知っていることによって、E-T-C(形態、タイミング、特質)からの恩恵を十分に受けることができる。
Eとはビジネスの実態(Entity)に対するコントロールのことで、例えばSタイプの会社(小規模法人)、有限責任会社(LLC)、有限責任事業組合(LLP)、Cタイプの会社(株式会社)などがある。
Tのタイミングで重要なのは、税金を支払うタイミングだ。法律や会計年度の知識を持つことでこれをコントロールすることができる。
Cとは所得の特質(Characteristics)で、勤労所得、ポートフォリオ所得、不労所得のうち、後ろの2つに焦点を合わせることである。
洗練された投資家は、3つのEの全てを持っている。さらに、洗練された投資家は、よい負債と悪い負債、よい支出と悪い支出、よい損失と悪い損失の3つの違いが分かっている。
洗練された投資家は、リスクについて平均的な投資家と全く違う見方ができる。
インサイド投資家とは、投資のインサイドにいて、経営上のコントロールの力を持っている人である。インサイド投資家は適格投資家のような多くの所得や資産を持っていなくても、お金に関する教育をしっかり受けていて、自分の会社を立ち上げることで資産を作り上げてインサイドから投資ができるようになる。
インサイド投資家は3つのE全てを持っている。自分自身でビジネスを立ち上げる方法の他に、すでにある会社の株式を買うことで支配権を手に入れることもできる。私が定義するインサイダーは、会社の活動に関する経営上の支配権を握っている投資家のことだ。違法なインサイダーではない。
究極の投資家とはビル・ゲイツやウォーレン・バフェットのように、巨大企業を立ち上げ、何百万人という人にとって何十億ドルもの価値を持つ資産を作り出す人間である。
究極の投資家は、3つのE全てを持っている。株式公開には有利な点と不利な点の両方があるが、多くの投資家にとって、株式公開による金銭的なプラス面は、マイナス面を補ってあまりあるはずだ。
ビジネスを起こそうと決心した私に向かって、金持ち父さんは仕事を見つけるように言った。起業家になるためにはまず「お金のためでなく学ぶために働く」ことが必要だ。
私はゼロックス社でコピー機を売るセールスの仕事についた。そこで受けたセールス・トレーニングは、富を得るために必要な技術を身につけるのに大いに役だった。「売ることができなければ、起業家にはなれない」と金持ち父さんは教えてくれた。
セールスの仕事を身につけた私は、次にパートタイムで自分のビジネスを始めた。ナイロンとベルクロを使ったサーファー用の財布の製造会社だ。私は自社の製品を特に愛していたわけではないが、ビジネスを作り上げるという挑戦に立ち向かうのは実に楽しかった。パートタイムでビジネスを立ち上げることで、コミュニケーション、リーダーシップ、チームを作る技術や税法、会社法、証券法などを学ぶことができる。セミナーや本では学べない実に多くのことを、ビジネスの内側にいる人間としてスタートすることで実践的に学ぶことができる。
ただ資産を作るのではなく、ビジネスを起こした方がいい理由は以下の3つだ。
ビジネスを始めるのに年齢は関係ない。重要なのは自分を奮い立たせることだ。カーネル・サンダースがケンタッキー・フライドチキンを始めたのは66歳の時だった。起業家として成功するには、洞察力、勇気、創造力、批判に耐える能力、充足を先送りにする能力が必要だ。これから先は、金持ち父さんがB-I トライアングルと呼んでいた考え方についてお話する。
B-Iトライアングルは、3つの辺(使命、チーム、リーダー)で囲まれた三角形である。内部は5つのブロックを積み上げた形になっている。B-Iトライアングルはキャッシュフロー・クワドラントのBとIで成功するために必要な知識を表している。
まずは、外側の3つの辺について説明しよう。
使命は、B-Iトライアングルの中で最も重要なものだ。ビジネスを成功させるためには、精神的な使命とビジネス上の使命の両方が必要である。
チームについては、ビジネスや投資はチームでやるスポーツだ、ということをまず理解しておく。成功の鍵はチームワークであり、安定したビジネス構造には、ビジネスオーナー、従業員、投資家、専門家の4点を結んだ四面体チームが不可欠だ。
リーダーシップは、起業家に絶対必要な資質だ。リーダーシップの技術は、自ら進んでリーダーになることで身に着けることができる。
適切な使命とチーム、リーダーの3つを手に入れた時、あなたのビジネスは外部の投資家からお金を引きつけ始める。次に重要なのは、B-Iトライアングル内部にある5つのブロック、キャッシュフロー、コミュニケーション、システム、法律、製品である。
キャッシュフロー管理は、BやIのクワドラントで成功を収めたい人にとっては、基礎的で必要不可欠な技術だ。ビジネスにおけるキャッシュフローとは、人間でいう血液のようなものである。キャッシュフローの管理は、会社設立後間もない初期のステージの給料、売上と売掛金、支出と買掛金、さらには銀行の借入枠や流動比率など多岐にわたる。会計士やファイナンシャル・アドバイザーなどの専門家を雇い、キャッシュフロー管理システムを構築する手伝いをしてもらう必要がある。
コミュニケーションがうまい人のところにお金は集まる。「ビジネスに流れ込んでくるお金の量は、外部へ流れ出るコミュニケーションの量と正比例する」と金持ち父さんは言っていた。Bクワドラントの人間になりたかったら、他の3つのクワドラントの人たちとコミュニケーションをとる必要がある。セールスやネットワークビジネスでコミュニケーション能力を磨くことは起業家に重要だが、その重要性を理解していない人が多い。
コミュニケーションには外見に気を配ることも必要だ。また、Sクワドラントでとどまるのならセールスに強いだけで良いが、Bクワドラントで成功したいのならばマーケティングにも強くなくてはいけない。マーケティングとは個人の力に頼るセールスではなく、システムを媒介としたセールスのことである。
ビジネスは、人間の体と同じく、内部で働く色々なシステムが集まって1つのシステムができている。複合的なシステムを管理するスキルを身に着けるには、不動産投資から始めるのが良い。CEOは、すべてのシステムを監視しながら、会社の成長を維持できるシステム構築をしなければならない。ビジネスを成功させるために必要なシステムの例を挙げると、オフィスでの日常業務、製品開発システム、製造および棚卸しシステム、注文処理システム、代金請求と売掛金システム、顧客サービスシステム、買掛金システム、マーケティング・システム、人事システム、一般会計システム、契約や知的財産や保険などの全般的な企業システム、物理的スペースの管理システムなどがある。
今日の情報化時代にあって、知的財産などの法律面の管理は非常に重要だ。特許権、商標権、著作権といった無形財産は最も大切な資産の1つなので、法的な保護をしておくことが不可欠だ。その他にも、会社法、消費者関連の法務、契約、労働法、株主や取締役会との関係など、ビジネス上の法律的な問題には、専門家を雇って適切に対応することが重要だ。
製品はB-Iトライアングルの最後の重要な要素だ。しかし、BやIのクワドラントで新しいビジネスを立ち上げる時、一番大切なのは製品やアイデアではなく、それを支えるシステムの方である。製品はB-Iトライアングルの一番上に乗っているが、その理由は製品が企業の使命を表すものだからである。
B-Iトライアングルが理解できればビジネスを立ち上げる準備ができる。最初は小さくても立ち上げたビジネスを大きくしていく過程で、洗練された投資家になっていくことができるだろう。
洗練された投資家のポイントは以下の5つに分けられる。
会社の財務比率を見るには、利益率やレバレッジ、負債比率、株主資本利益率などを、同じ業種の他の会社と比較したりして、最低3年分は検討する。
不動産の財務比率について最も重要なのは、キャッシュ・オン・キャッシュ・リターンだ。資産を買う前にデューデリジェンスを行うのは投資の基本である。金持ち父さんも私も、投資対象のデューデリジェンスについて独自のチェックリストを作成し、常に更新していた。
洗練された投資家の多くは、金、石油、天然ガスなどの天然資源にも投資をしている。さらに、いい負債と悪い負債、投資と貯蓄の違いなどを理解している。
ビル・ゲイツやウォーレン・バフェット、フォーチュン誌の長者番付に名を連ねる人たちは、どうやって大金持ちになったのか?彼らは昔ながらのやり方、つまり会社を作り、株式を公開して、「売り株主」になったのだ。究極の投資家とは、会社を作って、自分の会社の株式を売る人たちである。
1994年、私は経済的自由を得ていたし、よほどのことが起こらない限り一生働かなくてもいい状態になっていた。それでも私は、自分のビジネスの四面体を見直していた時、紙の資産、有価証券の部分が非常に弱いことに気づいた。その時、既に金持ち父さんは亡くなっていて、私は一部のエリートではないので株式公開やIPOについてゼロから学ばなくてはいけなかった。私はウォール街の達人であるフランクに弟子入りして、会社の株式を公開するプロセスやIPOへの投資法を学んだ。自分の会社の株式を公開することは究極の投資家になるための「通過儀礼」である。
株式を公開するにあたっては、以下のようなことを考慮に入れる必要がある。
いざ株式を公開することになったら、資金源としては友人や家族の他に、エンジェル投資家やプライベート投資家、パブリック投資家などが考えられる。私募で資金を集めるほか、VCや投資銀行を通じて調達する方法もある。
インターネットが普及した時代では、これまでのどんな時代より簡単にあなたは億万長者になることができる。キーワードは「短命」だ。これは「より少ないものでより多くをする能力」と言い換えることもできる。
金持ちが破産する理由を考えると、以下のようなものがある。
一番重要なことは、あなたの頭の中を変えることだ。お金がありあまる世界が存在し得ることを理解し、税法と会社法を学び、支出をコントロールすることがなぜそんなに重要かを知ることによって、まったく違う世界が見えてくる。
お金がありあまる世界では、「少ない収入、多い支出」によって金持ちになることができる。お金というのは単なる考え方だ。重要なのは、支出するお金のうち、最終的に収入の欄に戻ってくるお金を作り上げることができるかだ。これが分かれば、あなたは限りなく富が増える世界を見ることができるだろう。
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