リッチになりたいと考えた時、はじめはバフェットの基本とも呼べる二つの考え方を頭に入れておくことが必要です。
それは、「複利で運用すること」と「元手は多ければ多い方が良い」ということです。
例えば、元手10万ドルを15%で運用すれば20年後には総額163万6653ドルになります。しかし、何らかの理由でその9割を初年度で失ってしまえば20年後の総額は16万3665ドルにしかなりません。言うまでもなく、総額は初年度のスタートでつまずくと大幅に変化してしまいます。
投資の初期段階で金を損すれば損するほど、将来のあなたの利益獲得能力により大きな悪影響が及ぼされてしまうということを頭にいれておきましょう。バフェットは、このことを忘れずに自分を戒めるため、自動車を乗り換えることなく古い旧式の自動車に乗りつづけたと言われています。すなわち、投資の初期段階で小さな成功をしても、それで裕福な生活を送ろうとしてしまえば、将来受け取れるお金が減るということです。
そして、このルールを知っただけで終わりではありません。
それを絶対に忘れないことも、長く成功しつづけるためには大切なことです。
投資に関する決断を下す時、取り消しがきかないという前提に立つのであれば、あなたは金を注ぎ込む前に、まちがいなく投資対象のことを勉強するはずです。
自分が結婚する場面をイメージしてください。相手とデートせずに、飲み仲間たちと相談せず、はたまたじっくりと検討を重ねずにいきなり結婚に踏み切るでしょうか。投資もまた同じです。
投資相手の、情報をかき集め、理解ができたと確信してから投資に踏み切るべきです。
バフェットは1937年ワシントン・ポスト株に1100万ドルを投資。その婚姻関係は非常に長いものとなりました。その株が彼に与えた成果もまた非常に大きいものとなり、初心を貫いたことでバフェット自身にもおおきな富をもたらすこととなりました。初心を貫き通したものだけが、天から褒美がもたらされることがあるということはわすれてはいけません。もちろん、最初に選んだ相手が正しければの話ですが…。
高い知性をそなえ、大きな成功をおさめ、人生で巨万の富を築いた事業家たちが、自分で投資する金もないような貧しい株屋の助言を受け入れてしまう状況に、バフェットは常々違和感を覚えてきました。
それほどありがたい助言であるのであれば、株屋自身がなぜ全員金持ちにならないのでしょうかと。そこには、他人に助言料を請求することで儲けようとする考え方がありました。そういった輩に対しては、疑ってかかった方がよいとバフェットは忠告しています。
彼らの目的は、自分たちを金持ちにすることではなく助言によって儲けることで、誰かが財産を失ったとしても、その別の相手を探し出すことに考え方をかえるだけです。
また、こういった前提があるからこそバフェットはアナリストたちがまとめる事業予測に対しては目をくれません。どのビジネスをとったとしても特殊要因が無視され、楽観的な見通しばかりが記されているからです。
バフェットは現在巨万の富を築いています。でも、それは高望みしなかったことの積み上げによるものです。野球で例えるのであれば、すべての投球に対してホームランを狙うことなく、絶好球を待って、確実に打てる球だけをフルスイングしてきました。
具体的には、改善の必要がない定番商品を持っている会社や、今後20年間は安泰と思われる会社に狙いをつけたのです。それから、全株式を取得して丸ごと所有した場合、一株いくらならビジネスとして見合うかを弾き出し、実際の株価がその水準になる瞬間を待ち受けるということをやってきました。
株式市場を見ると、幸運にも短期的利益を追う傾向が強くビジネスの長期的経済性が軽んじられる場合が多いです。そのため、素晴らしい会社であっても著しく安い値をつけられることもあるのです。占いまがいの複雑な投資戦略はそこには必要ないということです。
新たな株式を購入するとき、あなたはどのように決めているだろうか。その決定をする直前に、「自分の純資産の10%をその株に注いでも良いか」と自問自答してみましょう。
そこに勇気や確信がなく、飛び込んでしまおうという感覚で投資をしているのであればその銘柄は投資するに相応しいものではありえません。
確信は将来何かが起きるという知識にもとづきます。それに対して信念は、将来何が起こってほしいという希望にしかもとづきません。
投資のゲームで金を儲けるには、自分自身が何をしているのか正しい認識が必要です。それが自分の資産の10%、あるいはそれ以上のお金であれば、投資に対する集中心が高まり、事前調査を滞りなく行えるはずです。
逆に自身の投資戦略が確信でなく、信念によるものであったらならばあなたは全く勝ち目がありません。
株式の初心者はひとつの銘柄で損失を出すと、ほかには株などは存在していないかのように、同じ銘柄で勝負をつづけてしまうことあります。これがカジノであれば、同じゲームで運のめぐりをまつのも戦略のひとつ。しかし、ゲームと違い株は銘柄ごとのリスクは全く異なります。
会社のクオリティには高い株価がつきものであり、良い買い物を安くするのは困難です。しかし、時折株式市場が常軌を逸した動きを見せ、ハイクオリティの会社を低価格で販売してくれることもあります。このときが一番楽に金儲けができるチャンスです。
逆に絶対に避けなければいけないのは、低いクオリティの事業を高い価格で購入するということ。これをしてしまうと、自身の財産を確実に失ってしまうでしょう。
そうした株の銘柄ひとつひとつが異なる別ゲームであり、独自の賭け金が設定されていると理解しておくとよいでしょう。だからこそ、賭け率が非常に有利な銘柄の出現を待ち、安全マージンを確保した上で大きな勝負に出ることが必要なのです。
株式市場とカジノは大きくその存在が異なります。カジノと異なり、株式市場にはときどき確実な儲け話が転がっています。バフェットのように、そうした銘柄で身を固めることが、一つの資産をつくるために大事なことなのです。
※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。