決断疲れとは、意思決定を長時間繰り返した後に、決断の質が低下する現象をさします。人間の脳の処理能力にはかぎりがあります。取捨選択を迫られたとき、意志力を消耗します。意志力の消耗を防ぐために私が実践している、「意志力の最適化」を紹介します。
(1)「無の視界」を構築する
職場のデスクにはパソコン以外、本当に必要なモノしか置かない
(2)よく使う?ほな暗記せえ
たとえば、クレジットカード(番号、有効期限、セキュリティーコード)は暗記しています。
(3)脳にスリスリ刷り込む
意志力が強くなければ、自分で自分を洗脳すればよいのです。
(4)前にまわせ、後には決してまわすな
やらなければいけないことを後まわしにすると、その間ずっと脳のメモリを占有し続けて、意志力が消耗します。先に片づければ、なにより気分もよいです。
(5)聖徳太子のマネをしない
マルチタスキングを行う人のほうが注意散漫になりやすく、集中するのが難しいことがわかっています。
(6)習慣化という脳への助け舟
「月曜の18時はプールで泳ぐ」「出社の際はエレベーターではなく階段を使って運動する
」というように「これをしたら、これ」と決めてしまう。ただし、ルーティン化や習慣化は、発想の転換や改善点を見逃すことにもなり得るため、ケースバイケースでもあります。
テクノロジーの進化にともない、構造が複雑になってくると、高齢者や普段触れていない人々にとってなじみにくい存在になってきます。つまり、「一部の理解している人」と、「大多数の理解していない人」に二分され、情報格差が生まれます。自分で調べずにただメディアの情報を受け入れるだけでは、メディアに「支配」されることと同じなのです。
私は登山が趣味で、よく山に行きます。とくに仕事に追われていたサラリーマン時代は山へ行くと、「自分は動物である」ことに気づかされました。人間という生物としての幸福を求めるならば、自然と切っても切り離すことができないと思います。テクノロジーが進化すればするほど、都会化が進めば進むほど、人間という生物にとって、自然の重要性は増すはずです。
私は「理解している」と思える相手は、この世に0人です。なぜなら、人は多面的であり、相手が自分に見せている姿は、100あるうちの一面でしかないからです。人が多面的であるならば、当然、自分もいろんな顔を持っているはずです。「自分の世界観のなかに、相手が当てはまらない」から、「相手を理解できない」と思うのです。いろんなタイプの人を知り、交流することで、度量と世界観が広がり、人間関係を楽観的にとらえることができるようになります。
「不二(ふに)」という仏教の言葉があります。2つに分断されているように見えて、実は1つであるという意味です。つまり、「相手=自分」と考えれば、相手の気持ちに寄り添えるのではないでしょうか。
多様な人間性に対する理解を、好奇心をもって積み上げる。そうすることが、心地よい豊かな人間関係につながります。違いを認め、自分と異なる人間をおもしろいと思う好奇心こそが、多様な人を引き寄せ、結果的に人間としての幅を広げるのだと私は思います。
心地よいコミュニケーションが取れる人は、「人の話に耳を傾ける」ことのできる人ではないでしょうか。以下に、5つの聞き上手の極意を紹介します。
(1)質問という手段
質問することは、自分が試される一方で、相手への好奇心を示すチャンスでもあるのです。
(2)的確な要約で生まれる信頼
会話をさえぎることは、コミュニケーションではご法度です。相手の話を聞いて、理解したことを簡潔に「~ということですね」と要約したうえで、次の質問や自分の考えを述べられると、信頼感が生まれます。
(3)記憶という名の行為
忘れがちな人は、メモがおすすめです。
(4)合いの手の匠
「私はあなたの話を聞いていますよ」と相手に示すことで、心地よいコミュニケーションが生まれます。
(5)多弁は慎む
相手に質問をされていないのに自分の話を多くしてしまうと、「自分を認めてもらいたい」「優位に立ちたい」などといった印象を抱かれます。
多くの会社員の方は、起きている時間のうち半分近く、仕事をしています。
逆説とは、「一見、正しくないように見えて、実は一面の真理を言い表していること」です。効率性も同じです。効率性にこだわると近視眼的になりがちで、「結果的に効率的になる」長期目線には着目しづらくなります。
メールの文面を考えるのに時間がかかることがあります。込み入った話や相手との認識がずれそうな案件ほど、対面やオンラインでコミュニケーションを図るほうが近道である場合があります。
資産形成も同じです。ハイリターンを目指すという「不確実性の高い近道」より「収入ー支出」の最大化に注力して元本を増やすほうが着実で近道です。
個数が重要なのではなく、「自分が人生でなにをしたいのか」という価値観が凝縮されたリストをつくることに意義があります。
・人生でなにをなしとげたいのか
・どのような人生を送りたいのか
・いつまでにどのような自分になっていたいのか
・なにに価値を置いているのか
これらが明確になれば、人生の明確な羅針盤ができあがります。
わかっていてもなかなかできない…。そんなときは、まず継続のハードルを下げましょう。そこから徐々に負荷を上げていきます。完璧主義になりすぎないことが大事です。
「コントロールできないものに対して、こうあってほしい」と思うから人間関係の執着が生まれます。資産運用も同様です。なぜ私がFIREを目指していたとき「収入ー支出」に注力したのか。運用利回りは自分でコントロールできないからです。コントロールしようとすると執着が生まれ、消耗します。
相手に求める前に自分の行動を見直す。頭でわかっていてもなかなかできないことです。まずは小さなことから。周りが見えると余裕が生まれ、自信にもつながります。
「なにから取りかかればいいかわからない」ときは、小さなタスクに分解して、道筋を立てることです。
FIREを目指すにあたって目安としたのは「月20万円の配当金を得る」ことです。小さなタスクに分解すると、課題やポイントが浮き彫りになります。
ひたすら小さなタスクに分解して丸裸にしましょう。複雑に思えたものがシンプルに見え、道筋が見えやすくなります。
なにかを手放さないと、いつのまにか自分の意志で手に入れたものではなく、向こうから寄ってきたもので埋め尽くされてしまいます。手放す意識を持って手に入れたものについてご紹介します。
・「長所以外」を手放す→独自性を高める
特定の分野で傑出すれば独自性や希少性といった強みを持つことになります。不得意分野を捨て、得意分野に集中することも賢明な人生戦略ではないでしょうか。
・中途半場を手放す→最短距離でゴールする
突き抜ける結果を得るためには、「すべてを得よう」といった、どっちつかずの甘い考えは捨てる必要があります。
・浪費を手放す→価値観を確立する
自分の価値観が定まってくると、浪費という概念がなくなります。
・余計な言葉を手放す→言葉が洗練される
社会人になって見た、印象的な動画があります。ZEN(禅)の教えをモチーフに、シンプルさの重要性が説かれていました。
「余分なものをそぎ落とすことで、重要なことが見えてくる」
「余白があることで、主張を明確に、強くする」
強く共感しました。シンプルさを追及することは、プレゼンテーションに留まらず、文章や会話でも応用できると感じたからです。
「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉があります。集中力を維持するためには、質・量ともに充実した睡眠と食生活が欠かせません。
パフォーマンスを下げる「悪質睡眠」
ベストな睡眠時間には個人差がありますが、身体を休ませるためにも6~7時間は取りたいところです。また、寝る2時間前からはできるだけスマホを見ないようにしています。心身が興奮モード(交感神経優位)に傾き、入眠や睡眠の質が下がると個人的には感じます。
ヘトヘトな身体をいたわる食事法
食後にすぐ寝ると消化器官がはたらくので睡眠の質も落ち、なにより身体が疲れます。できるだけ胃の中を消化し終えてから寝るように努めています。
調理法はお刺身などの生もの、そして茹で・蒸し・煮込み料理が中心です。消化しやすく老化しにくい傾向が認められているためです。
血流の悪化は「歩き」で阻止
現代においては、「主体的に歩く」という意識が欠かせません。身体を動かして、血流を悪化させないことが、デスクワークの疲労軽減にも重要だと考えています。
食事・睡眠・運動は健全な肉体と精神を育むうえで切っても切り離せないものです。「人間は社会的な動物である」というのが私の持論です。動くことが大切なのです。
多様な国の人々と接してきて、感じたことがあります。日本はよくも悪くも、常識や普通であることに対する「同調圧力が強い」ということです。
自分の常識からくる正義を振りかざし、相手を否定する人に、翼を折られないようにしましょう。自分の可能性を決めるのは、常識や他人ではなく、自分です。
加えて、「普通でいなければならない」といった、固定概念を手放せば、より自由に、しなやかに生きられると感じています。固定概念は、一度自分の中に根を張ると、気づかぬうちに成長し、太い幹となり、「こうあるべきだ」といった原理主義的な考えに至ることもあります。
私がFIREを目指す過程でも「可能性を狭める固定観念には絶対に注意しよう」と感じたことがありました。例えば、「株はギャンブル」という固定概念を持っていたら、FIRE達成もおぼつかなかったかもしれません。
自分の人生にお金がどのくらい必要なのか?結局は自分の価値観を知ることに尽きます。
貯金や資産が多ければよいということでもなく、人生をどう生きたいのか、どう周囲や社会と関わりたいのかが大事なのだと思います。
時代にかかわらず、普遍的に通用するのは「お金」ではなく「自分」であり、「現物」だと私は考えています。有事はいつ起こるか予測できず、事が起こる前の備えが肝要です。時代を問わず、日頃からの現物の備蓄や、自分の思考力、サバイバル能力がモノを言います。
人生と同様、お金も有限です。「なににお金を使ったら幸せを感じられるか」を明確にしなければ、いくらお金を費やしても満たされません。価値観に沿って有限のお金を優先的に使うことに尽きます。
「支出の最適化」は支出を価値観に沿って取捨選択し、「なにに価値を置くか」=「お金を費やすか」を明確化するための方法です。自分にとってのお金の価値を知ることができれば、日々の生活費、資産形成のプラン、老後の備えまで、おのずと人生設計まで見えてくるはずです。
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