1991年以来、米国株は10倍強の上昇を遂げている一方で、日本株はわずか20%ほどの上昇にとどまります。大きく値を崩した場面がありましたが、あとから振り返るとこれらは一時的な調整局面でした。
また、アメリカは先進国でもめずらしく人口が増え続ける国です。将来にわたって人口が増え続ける国のほうが経済力の成長が続き、その国の株式市場への投資は非常に魅力的になるのです。
株価を上げる大きな要因は、企業の業績をあげることですが、その要因としては技術力、人材力があげられます。世界の大学をランク付けすると、1位から4位までアメリカの大学が占めています。そして上位20位中10校がアメリカの大学なのです。最先端技術や優秀な人材はこういった大学から誕生しています。アメリカの経済が今後も期待できる要因です。
アメリカ市場には日本人にも馴染みの深い企業がたくさんあります。よく知っていて、かつあなた自身がその会社のユーザーであるなら、魅力的な投資先の候補になるということです。
米国株の魅力のひとつに、高利回り銘柄が多いという点があげられます。しかも25年以上も連続して配当額を増やしている銘柄も数多くあります。
米国市場が日本の市場と大きく違うところに、経営基盤が盤石な企業が多いところと株主還元に積極的な企業が多いことがあげられます。企業統治において不正行為は厳しい罰則が設けられ、またチェック機能もより高度に働いています。
アメリカの株式市場には、大きく分けて2つの市場があります。ニューヨーク証券取引所(NYSE)とナスダック証券取引所(NASDAQ)です。世界の経済成長を運用成果に取り込むには、時価総額の4割を占める米国市場への投資が不可欠ともいえるのです。
1つの銘柄の動きではなく、市場全体、あるいは特定の銘柄群の株価の動きを示す数値が株価指数です。市場の動きを探るだけでなく、投資信託のベンチマークとして使われることもあるので、チェックしましょう。アメリカの株式市場には、代表的な株価指数として次の3つがあります。
・NYダウ
・ナスダック総合指数
・S&P500
米国株が日本株と大きく違うのが「売買単位」です。日本株は最低売買単位が100株となっていますが、米国株は1株から購入できるようになっています。そのため比較的低予算で購入できる銘柄が多くそろっているのです。
米国の証券取引所がオープンする時間帯は日本の夜にあたります。標準時間における立会時間は23時30分から翌朝の6時まで(日本時間)の6時間半になります。ただ米国には「サマータイム」があり、3月第二日曜日から11月第一日曜日のあいだは、22時30分から翌朝5時までとなります。
米国株の場合は、取引が成立した日を現地約定日といいます。現地約定日の翌営業日が国内約定日です。受渡は国内約定日から起算して、3営業日目(国内約定日の2営業日後)におこないます。この日を国内受渡日といいます。取引日にも違いがあります。とくに注意しなければならないのは、年末年始です。米国では正月は1月1日のみが休日になります。
アメリカの市場にはADR(米国預託証書)という金融商品があります。ADRのメリットは、本国が海外の投資家に市場をオープンにしていない場合でも、その国の上場企業に投資できることにあります。
米国株に投資するメリットといえば、高配当と値上がり益です。よって米国株に投資するのであれば、長期投資に限ります。しかも米国株は売買にかかるコストが日本株より割高になります。頻繁に売買を繰り返すことは、コスト高の米国株には向かないのです。
円高のときに米国株を購入するか、円安のときに購入するかもコスト面で大きな違いが出ます。購入するときは、円高時に米国株を購入するのが有利ということになります。株価の推移とあわせて、為替の動きにも気を配ることが大切なのです。
アメリカの個別株には値幅制限がありません。そのため、1日で想定外の値動きをすることもあります。その代わり、市場全体で一定以上の価格下落が起きた際に、取引所全体が取引を一時的に停止させることがあります。これを「サーキットブレーカー制度」といいます。
米国株の場合、米国内では課税はされません。その代わり日本国内で課税されます。税率は年間通算損益の20.315%で、日本株と同率です。一方、配当金は日米で二重課税になります。現地での課税分10%がかかるうえ、国内での課税分20.315%がかかってくるのです。
ただし確定申告をすれば、現地での課税分を国内の所得税や住民税から控除するかたちで戻されます(外国税額控除)。
米国株もNISAの対象となり、およそ20%の税金が非課税になるので、使わない手はありません。投資額に制限があり、譲渡益には制限がないので、できるだけ長期投資で大きな利益が発生したときに使いたいものです。
グロース株投資は、その急成長と株価上昇に期待して投資します。これに対し「バリュー株」は株価が低く抑えられている銘柄群です。「割安株」ともいわれます。いずれ見直されるのではないかという「期待」のもとに、バリュー株投資は行なわれます。バリュー株は安定的な株価を維持するので米国株初心者にはおすすめです。
投資先としてふさわしいかどうか、株価水準が割安か割高かを確認するには、どこに着目すればいいのでしょうか。ひとえに「業績」といっても、「売上」のほか「利益」もあります。注目したいのが営業利益率です。売上のうち、営業利益がどの程度の割合かを見る数値です。
株価にもっとも大きな影響を与えるのが「営業利益」です。「本業での業績がどうなのか」に投資家の関心が向いているからです。経常利益から特別利益を加え、特別損失を差し引いたものが税引前当期純利益、そこから税金を引いた残りが純利益です。この純利益が株主の取り分となるため、営業利益とあわせて注目されます。
企業の業績に照らし合わせて株価が割安か割高かを示す指標を株価収益率(PER)といいます。このPERの数値が小さいほど、会社が生み出す利益に対して株価が割安であることを示し、高ければ、利益に対して株価が割高な水準にあることを示しています。PERが小さい銘柄が有利ということになります。
PERが小さい銘柄が有利になるとお伝えしましたが、注意点が2つあります。1つめは業種によってPERの水準が異なるということです。もう1つは、PERには実績PERと予想PERの2種類があるということです。株価は将来を見て動くので、予想PERのほうに注目したいところです。
会社が所有する「財産」から株価水準を判断するモノサシがあります。これを株価純資産倍率(PBR)といいます。PERを重視したいのは、景気が上向きで経済成長時。PBRは、景気後退局面で、経済が停滞しているときに注目されがちです。「万が一」の倒産を考慮して、重要視されるわけです。
おすすめなのが「投資信託」を買うというやり方です。投資信託は基本的に中・長期の運用になります。多くの銘柄に中長期で投資するので、リスクが平均化されます。
投資信託の買い方としては、大きく2通りのやり方があります。ひとつはまとまった金額で一度に買い付けるやり方です。もうひとつは、毎月一定額を積み立て投資していくやり方です。こちらの投資法なら少額から始められます。さらに買うタイミングを考えなくても、効率的に時間分散ができるので、コツコツと中長期投資をするには向いています。
投資信託で注意しなければならないのは、市況によっては元本割れもありえるということです。さらに多くの会社を通して運営されたものなので、仲介に入っている会社は手数料を取っているわけです。株式投資よりコスト高になるのは仕方のないことです。
投資信託は、インデックス型とアクティブ型に分類できます。過去の運用成績をチェックしてみても、けっきょくは安定的なリターンを目指したインデックス型のほうが運用成績がよかったという事実があります。
ファンド・オブ・ファンズは投資家が購入した投資信託のお金を、さらに別の投資信託に投じる商品です。問題なのが手数料や信託報酬が二重にかかっているという点です。投資家への運用リターンが小さくなるわけです。
毎月分配型の投資信託は、収益のなかから毎月少しずつ投資家にリターンがある金融商品です。元本の取り崩しがおこなわれていたり、そもそも毎月分配金が支払われるということは、その分の事務コストもかかっています。
ETF(上場投資信託)も投資信託のひとつです。一般の投資信託と比較して、手数料が安いのが特徴です。また市場が開いているときであれば、いつでも売買できるので換金性も高いといえます。成行注文のほか、指値注文も可能です。
景気動向は、経済指標にあらわれます。そのため株式市場は経済指標の発表に注目し、その発表された数字によって株価は上げ下げします。米国経済は、世界の4分の1を占め世界一の規模をほこっています。米国の経済動向は、世界全体につながっていることになり、経済指標からも目が離せないわけです。
GDPとは、一定期間内に国内で生み出された財とサービスの付加価値の総額をいいます。国の経済規模を測るための指標のひとつで、GDPの伸び率が経済成長率を表します。
雇用者の増減を示しているのが雇用統計で、失業率、平均時給など10数項目にわたって発表されます。なかでも注目されているのが非農業部門雇用者数と失業率です。景気がいいのか悪いのか、ダイレクトに映し出す指標なのです。
米国の金融政策の基本方針を決める会合、それがFOMCです。景気が過熱すれば金利の引き上げ、景気が後退すれば金利の引き下げを実施します。政策金利である「FFレート」は世界中の政財界から注目されている重要指標です。
住宅着工件数は新築の住宅または建物の月間増加数を統計した指標で、個人消費の景況感をはかるうえで重要です。景気の先行きを示す指標としても使われます。
ISM製造業景況感指数は製造業界を対象に毎月アンケートをおこない、その結果を発表するという現場の景況観を極めてリアルに数値化した指標です。
鉱工業生産指数は製造業、鉱業、電力、ガスなどの実質生産量を発表する経済指標です。製造業の景況を事前に察知できる速報性の高い指標として注目されます。
消費者物価指数は消費者が購入した商品やサービスの価格変化を数値化した経済指標です。インフレが懸念される局面では、この指標に大きな注目が集まります。
ここから「バフェット式投資術」について紹介していきます。バフェット氏はコロンビア大学に在学中、グレアム教授に師事し、卒業後は教授が所有していた投資顧問会社に就職、そこでファンドマネージャーとなります。
バフェット氏が身につけた投資法が「フォーカス投資法」です。バフェット流投資は、目先の株価の動きにはあまり関心を寄せないのです。何に注目するのかというと、企業の状況です。「身近な銘柄かどうか」、「経営者の人柄が誠実かどうか」、「株主資本利益率」(ROE)、企業の価値に対して割安の株価で買えるかどうかを見るのです。
事業内容や業績、財務状況などをじっくり調べ上げることが重要です。これから米国株投資を始めようとするなら3社程度に絞り込むべきでしょう。魅力的な投資先を数社発掘することによって、投資効率を最大限に引き上げる。こうして、バフェット氏は巨万の富を築き上げたのです。
巨万の富を築いたバフェット氏も、すべての投資で成功してきたわけではありません。失敗を埋め合わせるための第一歩は、真摯に失敗した原因を追究し、学び、同じ過ちを繰り返さないことだといいます。
バフェット氏の発言には、「株式投資は、株価を見るのではなく、会社を見なさい」というものもあります。もし会社がやっている事業がすばらしく成長性がある内容なら、目先の株価の動きにとらわれる必要もないのです。市況が悪くなって株価が下落したとしても、それは株価の変化であり、会社そのものの価値とは関係ないのです。
バフェット氏は、市場の株価の動きに惑わされるなとしながらも、市場全体が暴落したときは、買いのチャンスと見ていました。長期投資に有効とされる「逆張り」のスタンスです。市場参加者が恐れおののいているときこそ「買いのチャンス」と覚えておきましょう。
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