金持ち父さんは、お金には「九十対十の法則」が成り立つと信じていた。「九十対十の法則」とは、「十パーセントの人間がつねに九十パーセントのお金を儲ける」法則のことだ。
金持ち投資家は、平均的な投資家とは違った考え方をする。たいていの投資家がリスクを嫌がるのに対し金持ち投資家はリスクを背負う。平均的な投資家が仕事を持つのに対し、金持ち投資家は仕事を作り出す。
上位10パーセントの投資家になるためには、どんな物事にも裏表があることを理解し、「コインの裏表で考える」必要があるのだ。
「洗練された投資家」は、3つのEを持っている。
適格投資家や洗練された投資家は、私募債やIPO、スタートアップ企業への貸付やヘッジファンドなどの投資を行なうことができる。しかし、このような投資は、十分な知識と経験と資金を持っていない平均的な投資家にとっては、リスクが高過ぎる。
洗練された投資家になるためのレッスンはまず、頭と心の準備、自分自身をコントロールすることを学ぶところから始まる。何よりも大切なのは、金持ちになることを、自分の心と頭で選ぶことだ。投資が本当に行われるのは、あなたの頭と心の中だからだ。
人が投資する3つの基本的な理由は以下の通りである。
人間の人生の違いは、この3つの選択肢の優先順位によって生まれる。どの本質的価値が自分にとって一番大切かを決めることは、あなたの人生に長期的かつ多大な影響を与えるから、それについて徹底的に考え、知ることが大事である。
お金に関して「九十対十の法則」が成り立っている理由の1つは、90パーセントの人が、金持ちになることより快適さと安心を選んでいることにあるのかもしれない。
お金に関する問題は2つだけだ。それは「お金が充分にないこと」「お金がありすぎること」である。重要なのは、「世界はお金が充分にない世界だ」という考えを捨てることだが、たいていの人は、お金が充分にないという問題を抱えた家庭で生まれ育つので、この考え方を捨てるのはとても難しい。
しかし、不足の裏側には充足の世界がある。大事なのは、充足している金持ちの世界を表面的に見るのではなくて、金持ちの頭の中で何が起きているかを理解することだ。
安全を求めるほど、その人の人生には不足が出てきてしまう。安全を求めれば求めるほど、コインの裏側を見ることを忘れて、チャンスを逃してしまうのだ。
投資は人によって意味するものが違うので、わかりにくく見える。価値観によって投資対象も異なってくるし、投資する商品、手法によっても分けられる。さらに商品と手法の組み合わせによって投資家の種類が決まり、投資家の周りには、実際には投資家ではないような人たちも集まっている。こういうこと全てが、投資をわかりにくくしている。
投資というものは非常に大きなテーマで、あなたの身の回りの全てのものが、何らかの投資の成果である。特定の投資商品や手法に焦点を合わせることが必ずしも投資とは言えないし、ある人にとって「いい」投資商品が、別の人にとっては「悪い」こともあり得るのだ。
投資は商品でも手法でもなく、とても個人的なプランである。
投資はきみを今の経済的状態から、将来きみがなりたいと思っている状態まで運んでくれる旅行計画のようなものであり、投資の対象となる商品はそのための乗物=手段(vehicle)なのだ。
プランを達成するための乗物は1つだけである必要は無い。投資手法にこだわり過ぎて、プランよりも乗物の方に焦点を合わせることになっては本末転倒だ。
言葉の力はとても大きい。人が口にする言葉に耳を傾ければ、その人の過去、現在、未来を見ることができる。だから、今より金持ちになるためには、お金に関する語彙を増やすことが重要だ。
金銭的に成功したいと思うのなら、お金に関する言葉、投資やビジネスの特定分野の語彙を増やさなければならない。多くの人は、「負債」や「資本」といった言葉の定義を間違って使っている。金持ちと貧乏人の根本的な違いの1つは言葉にあることを心にとどめ、言葉の使い方に注意を払うことだ。
本当の投資は、たいていの人が考えているものとは違い、ドラマティックなものではなく、多くの場合、単調で退屈な、ほとんど機械的と言っていいほどのプロセスでしかない。単純な戦略をマスターしてそれを繰り返すことで自動的に金持ちになることができるのだ。
目新しい手法や目先の儲け話に飛びつくのではなく、長期的に効果が立証されている単純で効果のある方法を着実に実践することが重要なのだ。必要なのは、そのプランを最後までやり通す強い自制心なのである。
自分に合ったプランを見つけるためには、プロのコーチや良いメンターと出会うことが必要だ。複数のアドバイザーと会い、必要ならば目標を修正しながら、プランは変えずに守り通すこと。
投資はチームスポーツであることを認識することも重要だ。銀行員、会計士、弁護士、ブローカー、会計係、保険代理店、すでに成功している「よき師」など、あなたのお金の面での夢の実現を手助けしてくれるメンバーを見つけて行くこと。チームのメンバーは、ビジネスパートナーと同じようなものである。自分のビジネスを考えていくうちに、自分にとっての最良のプランが分かってくる。時間をかけて自分のビジネスを育て、失敗から多くを学んで、より良いプランを練り上げていくことだ。
きちんと時間をかけて異なるレベルでのプランを立てることで、人生においてお金の面で何が可能か、理解できるようになる。
安心のためだけのプランを立てる人は、自分自身で手に入るものを制限してしまう。制限された、不足の世界のプランを立てるのではなく、充足の世界のためのプランを立てることが重要である。
「安心していられること」「快適であること」の2つのプランと「金持ちであること」のプランの違いは、時間で測られる値段の違いである。もしきみが金持ちになりたいのならば、安心や快適さを目指すよりももっと多くの時間を投資しなければならない。たいていの人は、時間を先に投資することを嫌がり、安心さと快適さを求めるレベルで止まってしまう。
安心や快適を求めるレベルの投資は、できるかぎり機械的で定式化されていて単純なものであるべきだが、投資が安全であればあるほど、お金を儲けるのには時間がかかる。投資の世界では、値段は時間とお金の両方で測られる。金持ちレベルの積極的な投資は、まず安心さと快適さを確保してから参加すべきである。
投資が危険だと言われる理由は主に3つある。
1つ目は、投資家になるための訓練を受けていないから、2つ目は、大部分の投資家のコントロール能力が不足しているから、3つ目は、たいていの人が内側からでなく外側から投資をしているからだ。
クワドラントの左側にいる人たち、E(employee)やS(self-employee)は外側からしか投資できないが、右側にいる人たちB(business owner)やI(investor)は外側からも内側からも投資をすることができる。違法なインサイダー取引は禁止されているが、現実には合法的なインサイダー投資はたくさんある。金持ちになるためには、外側から投資する立場ではなく、内側から投資できる立場に移動しなくてはならない。
投資の世界はプロスポーツの世界に似ている。舞台裏で起こっていることこそが重要であり、ビジネスの裏にあるビジネスが本当のゲームなのである。
一生懸命に働いてお金を貯めることではお金持ちになれない理由は3つある。
1つは、公平と言える割当て以上に税金を払わねばならないから。2つ目は、そういう人たちは投資は危険なものだと考え、投資について学ぶことをしないから。3つ目は、一生懸命に働くことが大事だと信じ、投資は危険だと思っている人たちは、コインの裏側を見ようともしなくなってしまうからだ。
金持ち父さんは、子供の私を仕事の面接に同席させることで、テーブルの向こう側、クワドラントで言えばEやSの側と、テーブルのこちら側、BやIといったクワドラントの右側、将来的にどちら側に座りたいかを私に考えさせたのだ。テーブルのこちら側に座りたければ、Iのクワドラントを最も大事にし、その為の勉強をする必要がある。それと同時に、すべてのクワドラントでお金を儲ける方法を学び、テーブルの両側に座ることができるようにしておくことだ。そうすれば、コインの両側を見ることができる。
安心さと快適さの2つのプランができた後の、投資の基本ルールの7つは以下の通りだ。
1.所得には勤労所得とポートフォリオ所得、不労所得の3つの種類があることを理解し、金持ちになりたければ、ポートフォリオ所得や不労所得を得るために努力する必要がある。
2.勤労所得をできるだけ効率よくポートフォリオ所得あるいは不労所得に変えるよう努力する。
3.勤労所得を不労所得やポートフォリオ所得に変えてくれそうな証券を買うことで、勤労所得の安全性を確保することだ。証券は必ずしも資産ではなく、負債にもなりうる。証券が資産か負債かを決めるのは投資家の腕にかかっている。
4.実際に資産だったり負債だったりするのは投資家自身であり、BやIのクワドラントで活動する人間は、負債である証券を見つけて資産に変えることができる。
5.真の投資家は、予測しようとするのではなく、何が起ころうと対処できるように準備しておくことが必要だ。
6.投資する側が教育と経験を積んでいて、良い取引を見つけた場合には、自然とお金の方が引き寄せられてくる。
7.投機的な投資にはリスクに対してリウォードがどのくらいか、をきちんと評価することが重要だ。
金持ちレベルの投資には、3つのE(教育、経験、ありあまるお金)が必要で、特に損をしてもそこから利益を得ることができるくらいの「ありあまるお金」があることが重要だ。
金持ちの投資家になりたいのならば、ファイナンシャル・リテラシーを身につけなければいけない。
ファイナンシャル・リテラシーの最も基本的な能力は、財務諸表が読めるかどうかにかかっている。財務諸表はどんなビジネスにも、不動産にも、そして個人の1人1人にも存在している。
財務諸表が読めれば、投資するものの重要事項チェックリストをつくり、リスクや安全性を適切に判断することができる。また、自分個人の財務諸表と投資対象の財務諸表を重ね合わせて、プランを検討することができる。さらに、財務諸表を読むことで、投資がお金を生み出すものなのか損をするものなのかを判断できるようになる。
金持ちの投資家になる為に、財務諸表に関する実務的で正しい知識を身につけることは必要最低限の条件である。
最も重要なのは、損益計算書と貸借対照表の関係を理解することだ。重要なのは、キャッシュ・フローという言葉で、キャッシュ・フローを生むものだけが資産となる。金持ちになりたかったら、自分自身のキャッシュ・フローをコントロールできるようになることだ。
経済的自由への第一歩は、自分のお金と財務諸表を自分でコントロールすることから始まる。洗練された投資家は、複数の財務諸表で投資の全体像を見ることができる。財務諸表を読み込んでファイナンシャル・インテリジェンスを高めれば高めるほど、平均的な投資家には決して見えないものが見えてくる。
間違いは回避すべきものではなく、新しい何かを学ぶチャンスだ。
学校では間違いをしない方が頭がいいと思われるが、現実の世界では、間違いを犯してそこから学ぶことができてはじめて頭がいいと言える。正しいことだけやっていても結果は出ない。
大事なのは、辛い経験に真正面から立ち向かい、失敗の経験から学ぶことだ。腹が立ったら十数え、ひどく腹が立ったら百数えて、自分の気の短さをコントロールする。間違いを犯してもそこから何も学ばなければ、間違いに隠されている不思議な力も人生から消えてしまう。
金持ちになる道はたくさんあるが、それぞれに、支払わなければならない代価がある。
金銭的な知性を伸ばす、という方法もある。金持ちが投資するのと同じものに投資をしたければ、3つのE(教育、経験、ありあまるお金)が必要だ。それを手に入れる為の代価は、時間と献身である。
お金に関する考え方を身につけ、徹底したプランを立てること、これが「金持ちになるためのプラン」の第1ステージである。
九十対十の法則の中で、10パーセントの投資家の1人になるためには、お金を使わずに資産を生み出す方法を考え出す必要がある。90パーセントの人たちは、「お金を儲けるのにお金が必要だ」と言うが、それでは10パーセントの投資家にはなれない。最大の資産は頭脳であり、「ゴミ(トラッシュ)をお金(キャッシュ)に換える」思考プロセスだ。アイデアと創造力で、お金が無くても資産を作り出せる方法を考え出す。90パーセントの人と同じことをしていては、10パーセントには入れない。
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