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まだ間に合う! 50歳からのお金の基本
坂本 綾子
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税金・保険・年金
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資産形成
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50歳 自分の現実を知る

現時点での資産の確認ができなければ家計の立て直しは上手にはいきません。社会を出て30年、家計や生活、家族構成などにより家計の差は十人十色。

コツコツ積み上げた人と、多額のローンが残る人など差異はあります。そうした時に大切なのは、現状を知ることです。なんとなくこんな感じだろうと思っていると、リタイヤしたあと思わぬところで足元を掬われる可能性があります。

資産残高と呼ばれる口座残高や資産の情報だけでなく、下記の項目をまずは洗い出してみることが必要です。

・毎月の収入と支出

・手取り年収と支出

・住宅ローンもしくは賃貸

・借入金の残高と返済スケジュール

・維持費(車を持っている場合など)

資産残高を作った時と将来の状況は、必ずしも一致しません。時と場合により変化するものだと理解しておきましょう。また詳細に書き出そうとすると、調べるだけでも結構な手間となります。まずは、下記のように思いつくものから書き出していきましょう。

(例)

・資産残高  預金大体1,000万円

       金融資産600万円

・ローン残金 家1800万円 あと15年で完済

       自動車50万円 2年で完済

・維持費   家族の保険料 年間20万円

       自動車 年間15万円

資産の内訳による家計の対処法

現状の資産残高がわかると、家計の特徴も少しづつ見えてきます。以下がその特徴ごとに導き出された家計の課題と、その対処法になります。

すぐに使える預貯金が少ない場合

このような場合、突発的なリスクに弱くなります。突然の災害や入院など現金化が必要な場面があるかもしれません。

50歳であれば最低でも毎月の生活費の3ヶ月分〜半年分は持っておくことが大切です。積立定期などを使いつつ、保険料やローンなどの払い方を見直し、早急に預貯金を増やしていきましょう。

資産のほとんどが預貯金の場合

資産がなかなか増えないという状況になっていませんでしょうか。預貯金の金利は現在とても低く、資産を大きく増やすことが難しいです。どの程度の預貯金があれば安心できるか、投資する際どのぐらいのリスクを許容できるかを判断しつつ、金融資産への投資をしてみてはいかがでしょう。

保険の比率が高い場合

貯蓄性のある保険であったとしても、保険では対応できないリスクも存在します。必要以上に保険額を払ってしまうと、現金化しにくくなるためリスクに弱く、効率性が悪いケースもあります。50歳は保険の見直しどきとして最適なタイミング。加入している保険の種類などをチェックしてみてはいかがでしょう。

資産のほとんどが不動産の場合

不動産は最も現金化しにくい資産と言われ、突発的なリスクに非常に弱いです。自宅を担保にする形で現金を手にするリバースモーゲージという手法もありますが、利用できる対象や年齢、不動産内容により借入できる規模も左右されます。現状現預金が少なく不動産に資産が寄っている場合には預貯金を増やしていくことを優先しましょう。

純資産がマイナスの場合

頭金を入れずに全額ローンで住宅を購入した場合や、現金が必要でカードローンを借りてしまったなど様々な事情で資産よりも借入金が大きくなる場合があります。この場合は家計の破綻の心配がある危ない状態。早急に収支を見直し、純資産のマイナス状態を適正化し、預貯金を増やす方向にシフトしましょう。

理想的な貯蓄割合

預金にある程度の余裕があり、将来に対してより適正なお金を増やす努力をしていくことが大切です。では、どのぐらいのお金を使い、どのぐらいのお金を貯蓄して良いのか。

総務省統計局の「家計調査報告書」によると50代の2人以上世帯では、全国平均で可処分所得の31.3%が貯蓄されているとされています。ただし、この数字には住宅ローン返済などを考えている数字が入っていないことに注意が必要です。

まずは出ていくお金の支出を見直す。その上でローンを繰り上げ返済などを行い、黒字化の幅を増やす。その上で、子供の自立などで生まれた余裕分を金融資産などで積み立てていきましょう。目標の割合は「手取りの2割」くらい。支出がより減らせるのであれば3割ほどを目標にしていくと良いでしょう。

60歳〜65歳の戦略

一般的に現役を引退した後の生活費は7割程度と言われています。可処分所得の7割ですから、大体収入のあった時代の半分ぐらいが生活費となるでしょう。引退後の生活を支えるのが公的年金ですが、現役時代の働き方や収入によりもらえる金額が異なってきます。

そうした時、貯蓄があれば取り崩しをしつつ生活をより豊かに設計することにつながります。

例えば50歳から60歳までの手取り年収の2割を貯めることができれば、年収平均の2倍分が預貯金となるでしょう。もし、50歳から65歳まで3割を貯蓄することができれば、年収の4.5倍の貯蓄をすることができます。これに退職金などを合わせた金額が、現役引退後に使えるお金になります。虎の子のお金が思ったよりも少なく、老後に破綻や困った事態にならないためにもお金を賢くコツコツと貯めていきましょう。

人生のしまい方

人生100年時代と言われる中で50歳という年齢は、人生にまだまだ余裕がある時間帯。でもこれまでを振り返りつつ後半の充足のために、見直しをしていくことも大切です。

例えば口座の整理。キャンペーンや利便性などから複数の口座を持っていた人は、貯蓄と生活費口座など1〜2つにまとめておきましょう。そうすることで赤字か黒字かも確認できますし、突発的なことが起きた際、お金を動かせない事態を防ぐことができます。

また老後のお金の話というのは、ときに遺族同士が揉めるきっかけとなってしまいます。資産と家族の状況をもとに今どのような借金または資産があるのか早いタイミングでコミュニケーションをとっておくことが必要です。

渡す側にとっては、もめないためのコミュニケーションを心がけ、もらう側にとっては半分は運命と受け入れて気配りをしていくこと。自分の資産をどのように引き継いでいきたいかを含めて考えをすこしづつまとめていくことは、50歳のころからはじめておくべきことなのです。

著者
坂本 綾子
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定CFP(R))。2008年より情報サイト「オールアバウト」マネーガイドとして「預金・貯金」「銀行・郵便局」などの記事を執筆。2010年より独立した立場のFPとして活動を始め、家計相談やセミナー講師も行なっている。
出版社:
エムディエヌコーポレーション(MdN)
出版日:
2020/06/01

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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