小学生とお金について対話する中で気づかされたポイントは次のとおりです。
「ミニマリスト」「断捨離」がブームになるほど「ものが溢れた時代」に今の子どもたちは生まれています。生まれた時から暮らしに必要な衣食住が満たされ、今欲しいものをパッと即答する子どもが少ないと実感しました。
今すぐ欲しいものは特にないからといって欲がないわけではありません。みんな「お金は大好き」と迷いなく答えてくれました。
お金を使って何かに替えるのではなく、お金そのものを所有することが好きなようです。お金を持つことが好きという傾向は、日本の預貯金額の高さから今の大人達にもみられます。
IC カードやPayPayなど電子決済で買い物をするシーンが日常に溢れ、お金そのものを触る機会が減っています。そんな環境で育った子どもたちは、お金の形の多様性を受け入れています。
ビットコインなどの仮想通貨に興味を持つ子もいました。
今の大人たちと「お金」の価値観が違う今の子どもたちに投げかけたいテーマをまとめました。これらのテーマについて対話することは、子どもがお金に関して考えるきっかけになるだけではなく、大人も一緒に考え学ぶ機会になると思います。
僕は「清貧」ならぬ「清豊」、経済的に成長しながら心清く生きることが素敵だと思っています。例えば、起業してたくさんお金を稼ぐ人は自分が経済的に豊かになれるだけでなく 雇用を生むことで社会を豊かにしています。
「お金が好き」「お金をたくさん持つ」についてどんな意味を持つのか親子で考えてみてください。
お金はたくさんの人に喜んでもらえる価値を生み出せる人に集まります。だからお金持ちになるためには、価値を生み出す力を磨くことが大事ですと僕は伝えています。
では価値を生み出す力は何によって磨かれるのか。答えはひとつではありません。
お金は職業を決める上で大事な要素ですが、それだけで決められるわけではありませんよね。
「どんな仕事をしたい?」と子どもに聞いて明確に答えが返ってこなかったとしても、「お金をたくさんもらってもやりたくない仕事って何?」と逆方向から問いかけて話を広げるのもいいかもしれません 。今の子どもたちは古いお金と新しいお金が入り混じる転換期の真っ只中を生きています。
「お年玉は親が預かって口座に貯めておく」という小さい頃からのルールをなんとなく続けている家庭も多いかもしれません。一度親子でもらったお金をどうするのか方針を話し合ってみてもいいと思います。
お金の行き先には「貯める・使う・殖やす・寄付する」という複数の選択肢があるということを伝えたいものです。
「そもそも平均的な暮らしってどのくらいなんだろうね?」と統計などを見ながら一緒に考えてみるといいかもしれません。
平均はあくまで平均です。自分にとって「普通の暮らし」「平凡な生活」をするために必要な金額は月にいくらだろう? 何が必要で何だったら我慢できるのか? お互いのこだわりを知るきっかけにもなります。
「AならBだ」という思い込みを疑ってみましょう 。貧乏な人はみんな不幸せ? お金持ちの人はみんな幸せ? ぜひ対話して欲しいテーマです。
自分にとって幸せな日常に欠かせないものとは何か。大人もじっくりと考える時間を持ちましょう。
資産運用についての情報は、知る機会がないと結果として「分からないから怖い」と遠ざかってしまいます。 例えば、株式投資と聞いて「ギャンブルみたい」と毛嫌いする人もいます。
しかし、「中長期の積立でリスクを分散しながら資産を増やす方法もある」と、子どもの頃から知っていたら、そのイメージはずいぶん変わっていたことでしょう。 小さなきっかけを知るチャンスに変えていけるといいなと思います。
大抵の子どもたちは「お金持ちになりたい」と答えてくれます。でも「何円ぐらいお金を持ちたい? 」と聞くと案外そのイメージはあやふやです。
家はいくらぐらいするんだろう? 車を3台欲しかったら何円ぐらいいるんだろう? という疑問も自然と生まれ、お金について会話するきっかけになるのではないでしょうか。
お金持ちってどんな人だろうという問いも一緒に考えてみると面白いでしょう。
大人がよく使う言葉、会話の中で繰り返される言葉を子どもは敏感に感じ取ります。
「ホワイト企業は良い会社、ブラック企業は悪い会社」「投資は危ない」「お金は貯めるもの」それらは確定した事実ではなく全体の一部です。
だからこそ既存のレッテルに振り分けたり決めつけたりと安易に思考を単純化しないよう心掛けたいものです。
子どもにお金に関してぜひ伝えてあげたいこと、心がけたいことをまとめました。親子との対話の参考にしてください。
株式投資をするための口座開設は、原則として年齢の制限はありません 。興味を持ったら小学生でも中学生でもその気になればいつでも投資家になれるということです。
自分のお金を使って応援したい会社にエネルギーを送って世の中を少しずつ動かしていく。そんなワクワクは貴重な体験となります。
子どもだから、働いていないからと言って世の中に役に立っていないと考える必要はありません。投資を通じて自分以外の誰かに力を送り届けられる存在だと教えてあげたいものです。
子どもへは、お小遣いを渡す形で色んなメッセージを込められます。どうやって手にしたお金だったのか、これからどんな使い方ができるのかなどです。
これからは貯めるだけじゃない殖やし方を教えてあげたいものです。預貯金以外のお金の運用に、実際にトライしてみるのもいいと思います。
大きな金額のお金をイメージしづらいなら、身近なお菓子である「うまい棒〇本分」などと単位化すると価値を実感しやすくなるでしょう。
これまで1万人近い経営者に会ってきましたが、成功を収める人の共通点は「たくさんの人を喜ばせられる能力」です。
人を喜ばせられる人になるための出発点は、快・不快に敏感になること。この自分の「好き」や「楽しい」を大切にすることからすべてが始まると僕は思います。
子どもたちは「好き」や「楽しい」を選び取る天才です。その気持ちを大事にしてもらいたい。大人は若い人と対話する力を磨き、置き忘れてきた感覚を呼び起こすきっかけにしてもらいたいと思います。
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