さて、為替としてイメージされるのは、100円が何ドルになるかという「外国為替」ではないでしょうか。海外に行かない人であれば、あまり為替を意識する機会はありませんよね。
しかし、実際は多くの見えないところで為替のお世話になっているのです。
たとえば、国内でお金をやり取りする「内国為替」。10万円のダイヤを1000個事業として仕入れたとしましょう。通常であれば1億円の現金を持って移動しなければいけませんが、銀行間を通じてお金のやり取りを行うことができるのです(当座預金口座)。
単なる銀行間の振込作業にも「内国為替」と呼ばれる、国内での為替が発生しているのです。
では、1個1000ドルのブランドバックを1000個ほど、海外から輸入した場合はどうなるでしょうか。みなさんがイメージする為替がここで発生します。相手側がドルでの取引を要望している場合、通貨の交換という作業が必要となるのです。これが「外国為替」です。
100円が何ドルになるのか。はたまた、1ドルが何円になるのか。2つの通貨の交換比率を示したものが「外国為替相場」、別名為替レートと呼ばれるものです。
世界的に見た時に、ドルが最も信用される通貨とされていて、貿易決済に広く用いられています。
では、次に気になるのは「円安」「円高」というキーワードでしょう。
(1)1ドルが100円から80円になった。
(2)1ドルが100円から120円になった。
(1)と(2)では、どちらが円高でしょうか。答えは(1)番です。1ドルを交換するのに(1)は100円より少ない金額で実行でき、(2)はその逆(円安)になります。
円の価値が上がるもしくは下がること(逆に言えば、ドルの価値が上がる、もしくは下がるとも言い換えられます)によって為替レートが変化し、円高や円安となるのです。
国内では、円高が進むと物価全体が下がり、逆に円安になると物価全体が高くなります。
輸入型企業は、円高になると商品や原材料の仕入れのコストを安くすることができます。結果、業績アップの追い風となります。
逆に、海外に輸出して売上を上げる企業の場合はどうでしょうか。同じ車一台を売ったとしても円高の場合、商品代金は最終的に円に換算されるわけですから入ってくるお金が大きく変わります。
自動車や機械など輸出が大きな軸となる企業ほど、売上は好調であったと仮定しても円高により業績が下がるということもあるわけです。
あなたが、普段行っている預貯金。通常であれば、円を貯蓄していくと思います。しかし、外貨預金という円の価値の変化を活用した預金方法が存在します。
たとえば、100万円を外貨預金したとしましょう(手数料や利子などは考慮しません)。
預金したタイミングでは、1ドル100円だった場合、1万ドルが外貨預金の口座に入ります。時間が経過し、1ドルが120円になったとき、円に戻すだけで口座のお金が120万円になるのです。
当たり前ですが、こうした得は必ずしも起きるわけではありません。たとえば前述した預金が経過するうちに、1ドル80円に変化したとしましょう。円に戻せば、いつのまにか80万円になってしまっています。儲けには、損するリスクもあると理解しておきましょう。
さて、外貨預金よりも積極的に為替差益を狙える取引が存在します。
それがFX。別名、外貨為替証拠取引です。FX事業者に証拠金を預け、投資家が証拠金を担保に最大25倍の金額で取引可能な投資です。
平日ほぼ24時間取引が可能な点や外貨預金よりも手数料などのコストが安い点。また、ドル以外の様々な通貨ペアも取引できるなどの特徴があります。
ただし、25倍の取引を行うということは、損失もまた大きくなるリスクがあります。為替利益が大きくなるということは、それと比例して為替差損も大きくなる。商品のしくみや取引方法、リスク管理まで勉強ができていない場合には、気軽に手を出してはいけません。
ドルはなぜ人気なのでしょうか。
米国は世界最大の経済大国で、かつ軍事大国でもありますから、世界各国から最も信頼された国の通貨といえます。
ドルは、数ある通貨の中で最も信頼度が高く、世界中で使われる通貨として、「基軸通貨」とも呼ばれます。
実際、各国の外貨準備と呼ばれる有事や不測の事態での備えにおいても、ドルは非常に人気です。
経済が脆弱な国の通貨をベースに貿易をすれば、支払いや受け取りにリスクが生まれてしまいます。しかし、ドルであれば、揺るがない価値があり取引の軸となってくれるのです。
また、世界最大の軍事国家というのもまた大事な要素です。
戦争やテロが起これば、国の価値が揺らぎます。そういった時に、強力な軍事力を持っている国であれば大丈夫といった安心感があるのです。
外国為替取引には「有事のドル買い」という格言があります。
とりあえず米ドルに換えておけば安心という意味を持ちます。近年、この格言に当てはまらない事例もありますが、ドルの強さを感じられる言葉として頭に入れておきましょう。
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