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図解でいちばん面白いデリバティブ入門
永野 学
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FX・CFDs
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デリバティブとは

ある元があるものが存在し、それに対して派生したものがデリバティブ。その言葉だけ聞いて難しく感じるかもしれません。言い換えるならば、デリバティブというのは原材料と加工品の関係なのです。

例えば牛乳は、チーズやバター、ヨーグルトなどのさまざまな加工品に変化します。デリバティブは原材料と加工品の関係ということなのです。原材料の牛乳の価格が上昇すれば、バターは値上げされますよね。

金融の世界でもおなじことで、Aの元がBであればBの価格が上がればAの価格が動くという因果関係があるものを指します。

ここで誤解が起きがちなのは、因果関係があっても相関関係があるとはかぎらないということです。例えば、お金持ちほど平均的に高い車に乗るというデータがあったとしましょう。これは、傾向的には正しいですがお金持ちになると高級車に乗る人が増えるという因果関係は見出せません。

デリバティブ商品の分類について

おおまかに分けて3つの種類がデリバティブには存在します。

「先物・先渡し」

(例)1ドルと100円の為替取引があった時、通常であれば交換したい人たちが為替取引を行います。その際、どちらかの通貨のニーズや経済状況により交換する価格が変化します。ただし、その取引を2営業日後という近い日ではなく、1ヶ月後、1年後、はたまた5年後に交換するということを決める取引になります。

「オプション」

(例)1年後に110円で1ドルを交換できる権利を持っていたとしましょう。しかし、市場価格が下がってしまえば損をしてしまいます。そこで、権利を行使するもしくは行使しないという両方の権利を持つことがオプションです。このオプションそのものに価格がつき、それ自体が取引されます。

「スワップ」

(例)典型的な取引として挙げられるのは金利スワップと呼ばれるものです。片方は固定金利、他方は変動金利を持っていたとしましょう。他方の変動金利での増減と、固定金利の差がスワップとなり定期的に持ち続けることで交換されていきます。

デリバティブ取引は、基本的にこの3つのいずれか、あるいは3つの組み合わせで行える取引だと理解しておきましょう。

先物取引とは

お金と物の交換を直接的に取引するもの以外に、あらかじめ約束するといったサービスも存在します。例えば、半年後に名古屋の高級ホテルを2万円で予約するとしましょう。これもまた先物取引の一つとなります。

先物取引のイメージ

通常、こうしたホテルであれば1ヶ月前までに予約をキャンセルしてもキャンセル料が発生しないところが多いですが、先物取引であれば実際の取引をベースにした「清算金」が発生します。この時、将来のニーズに合わせて価格が変化します。

例えば、そのホテル周辺でサッカーの世界的大会の開催が決まれば室料は5万円に上がることに。

キャンセルをすることで、逆に清算金を3万円もらえることになるのです。また、逆にニーズが予約時点よりも下がり室料が5000円になってしまえば、利用しなかったとしても1万5千円分の支払いが必要になるのです。

こうした取引の価格は、将来の姿がわかっていることや、その予測に基づき価格がきまっていきます。

実際にある先物取引の種類

では、実際にどのような先物取引があるでしょうか。例えば、有名どころだと日経225やTOPIX先物などでしょう。本来日経平均やTOPIXは株価の指数であって現物としての売買は行うことができません。しかし、差金決済であることを利用して株価指数を取引することが可能なのです。

また、長期国債先物やコモディティの価格から派生する金の取引なども盛んです。

オプション取引のメリット

オプションは権利であって義務ではないものです。

例えば、コロモという現在1万円の株を100株3ヶ月後に売買するという契約を結んだとしましょう。この株が1万2000円になっているか、8000円になっているかは3ヶ月後のことなので誰もわかりません。

これが1万円で買う権利というものだと少し話は変わります。100株を100万円で3ヶ月後に買うことが得である(1万2000円に上がった)のであれば、行使しますし、逆に下がったのであれば行使しないということができるのです。

ただ、このオプション取引は言い換えるならば保険ということでその権利自体に価格が存在します。

保険会社が保険料と実際の支払いを統計学的に計算するように、オプションもまた理論や統計により価格が決定されていきます。

例えば、先ほどのコモロという株を見てみましょう。

1万円に対してオプションが1000円と設定されていた場合、1万5000円に株価が上がれば、取引後に即売却をした場合に差額の4000円が利益となります。

逆に株価が5000円になったとしても、取引を行使しないという選択を取ればよいので1000円のオプション料以外は発生しません。

こうしたオプションはリスクを減らすことができるという理解をしておけば良いでしょう。

著者
永野 学
1967(昭和42)年愛知県生まれ。1989(平成元)年一橋大学経済学部卒業。外資系の金融機関を中心に、主としてクレジット・トレーディング業務とストラクチャード・ファイナンス業務に従事。
出版社:
東洋経済新報社
出版日:
2009/03/01

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