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元東京国税局職員が教えるお金の基本
小林 義崇
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税金・保険・年金
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節約・貯金
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ちょっとだけ生活を変えればお金が増える

お金の増やし方は3種類

働いて収入を得るのは基本中の基本です。ただ、今は労働収入だけでは心もとない時代です。そのために資産運用が欠かせません。そこでまず基本として次のプロセスを意識しましょう。

1 働いて得る収入を増やす

2 無駄な支出を減らす 

3 1と2で得たお金を投資する

3つのプロセスはどれかひとつに特化させるのではなく、満遍なく取り組んでいくことが大切です。おすすめは、生活費1年分程度のお金を、いざというときのための緊急資金として貯めておくことです。実は緊急資金がゼロの状態で投資を始めてしまうと、損をしやすくなってしまうというデータがあります。

長期投資を継続するためにもまずは仕事や生活を見直して緊急資金を貯めてください。

家計支出の見直し

すぐに取り組めるという意味では支出削減が効果的です。支出削減のために最初に取り組みたいのが固定費の節約。

固定費とは、

・家賃

・保険料

・サブスクリプションサービス

・携帯電話料金

など毎月かかる費用をいいます。

固定費が怖いのは、普段は支払っている意識がないことです。支払っている意識がないのに家計の大きな負担になっている。これが固定費の特徴であり真っ先に見直すべき理由なのです。

削減した分を投資に回す

お金を増やすために最も効果が大きいのは、「収入からあらかじめ天引きをする」という方法です。

人間の心理として、「お金がある」と思うと、どうしても余計な買い物をしてしまうのです。ですから、家賃などの固定費と共に、貯金や投資に当てるお金も自動的に給料から天引きする仕組みを作り、残ったお金で食費や娯楽費などを支払う、という流れにした方がスムーズにお金を貯められます。

人間は流されやすい生き物ですから、天引きのルールを設けて自動的にお金を増やす仕組みを作るようにしましょう。

経費でとにかく税金を減らすコツ 

節税をしよう

現代社会では「節税」の知識を身につけておくことも重要です。

節税の本来の意味は、税法などのルールにのっとって、合法的に税金を減らすことを意味します。節税について何か悪いことをしているようなネガティブな印象を持つ人もいるようですが、法律で認められている方法ですから、むしろ積極的に利用すべきです。

ただし多くの場合、節税は“任意”で行うという点に注意してください。何もせずに節税の恩恵を受けられることはほぼなく、基本的には自分で年末調整や確定申告などの手続きを行う必要があります。節税の基本は課税所得を小さくすることにあります。そして課税所得を少なくする方法は、「必要経費を増やす」「控除を増やす」という2つが基本です。

必要経費を増やして節税する

フリーランスの個人事業者は、確定申告で必要経費をきちんと引くことが大切です。もしもそのときに、必要経費の判断で迷ったら、「事業に関係するのか?」ということを考えましょう。

必要経費を支払ったら、もれなく確定申告をするのはもちろん、レシートや領収書をきちんと保管することも大事です。レシートなどを提出することはないのですが、後から提示できないと、申告した必要経費を取り消されることがあります。

ただし会社員は必要経費を申請できない事が多いです。会社員は年末調整や確定申告で控除を利用できますが、必要経費を計上することは基本的にできません。なぜなら必要経費の代わりに給与所得控除というものが引かれているからです。会社員の給与収入にそのまま税金がかかっているわけではなく給与所得控除を引いた後の給与所得が税金の基準になります。

青色申告で節税する

個人で事業をしている人は青色申告という制度を利用して節税することが出来ます。

青色申告を簡単に説明すると、きちんと帳簿作成や確定申告をすることを条件に、税金を少なくできるというものです。

このように聞くと青色申告はハードルが高いと思うでしょう。でも年々進化している会計ソフトを利用すれば、自分だけで帳簿作成や確定申告をすることは決して難しくありません。

青色申告の節税メリットをうまく活用すれば、年間数10万円単位の節税効果が見込めます。さらに国民健康保険の保険料を下げる効果もあるので、個人で事業をしている人はぜひチャレンジしてください。

会社員の給料は給与所得という扱いで青色申告を使えません。でも副業して事業所得を得ることで会社員でも青色申告の恩恵にあずかることができます。副業でも記録さえ取っていれば大きな節約につながります。

「控除」の基礎知識

節税効果のある主な控除

会社員の場合、経費や青色申告を使った節税は難しいので、まずは控除に目を向けるのが合理的です。

最初に取り上げるのが基礎控除です。

基礎控除とは、誰でもいつでも使える所得控除。よほどの高収入の方を除けば、基礎控除48万円は問題なく使えるものです。特に書類を用意するなどの手続きもなく自動的に基礎控除が加味されます。

社会保険料を払った金額に応じて増えていくのが社会保険料控除です。社会保険だけでなく民間の生命保険でも控除が受けられます。

持ち家の地震保険に加入すると地震保険料控除を使えます。災害の多い日本では地震保険に加入しておいた方が安心です。地震保険料は生活の安心のためのコストと考え、その保険料の一部を、地震保険料控除で取り戻すといいでしょう。

結婚している人は、配偶者控除もしくは配偶者特別控除を使える可能性があります。

自然災害が多い日本では、台風や大雪、地震など誰もが被災する可能性があります。そうした事態に備えて覚えておきたいのが雑損控除です。雑損控除は災害や盗難などで被害を受けた時に被害額に応じて控除額が増える仕組みになっています。

ふるさと納税

ここまでに説明してきた所得控除はいずれも無理をして使うものではありません。普段のライフスタイルで利用できるものがあれば忘れずに申請するという意識で充分です。

ただここから説明するふるさと納税だけは違います。これはできるだけ積極的に利用したい制度となっています。正しく活用すればふるさと納税は確実に得する仕組みになっているからです。

ふるさと納税とは、地方自治体に寄与することで、寄付金控除による節税効果を受けるというものです。上限金額が所得によって異なりますが、例えば10万円を寄付したとしても9万8千円分は、所得税や住民税から控除されるため、実質負担は2000円になるというイメージです。

各地の美味しい肉やフルーツなど豪華な食品や、伝統工芸品、日用品など多くの返礼品を選べ、しかも自己負担は2000円なのです。

ふるさと納税は実は簡単に行えます。手続きが簡単にできるポータルサイトが複数ありネットショッピングのような感覚で地方自治体に寄付をすることができます。

無理せず勝つための資産運用の心得

投資の基礎

資産運用において心がけるべきは、「長期・分散・積立」です。このうち最も重視すべきなのが長期投資。投資は長く続ければ続けるほど利益を得やすいのです。長期投資をすれば複利の力を使って、いわゆる老後2000万円問題も無理なく解決できるということです。

株式市場は長期的には成長するのが基本です。つまり、長期ならリスクを軽減して安定して資産が増やせます。

長期投資を実現する

数十年単位の長期投資を実現するために必要なことは2つあります。まずは「積立投資をする」ということです。そしてもうひとつが「ほったらかしにする」というものです。いったん投資をしたら、あれこれ気にせず放置しておきましょう。

そして、「使った後に貯める」のではなく、「貯めてから使う」が資産形成のコツです。積立投資は一度設定をしたら、あとは自動的に口座引き落としで定期的に投資をしてくれるので、そこで残ったお金で生活をするという意識を持ってください。

あとはひたすら積立日の残高不足だけに注意してできるだけ長く投資を続けていくだけです。

長期投資を続けるには精神的な安定が最も大切です。自分で投資タイミングを判断して後悔するおそれがあるなら、自分の判断を入れない積立投資にした方が良いでしょう。

投資商品の性格を知る

膨大な金融商品から何を選ぶべきか

私がお勧めするのが、投資信託で積立投資をするという方法です。投資信託には次のようなメリットがあり、初心者が資産運用を始めるのにうってつけです。

1少額から始められる

2運用をおまかせできる

3分散投資でリスクを軽減できる

4積立NISAやiDeCoなどの税制優遇を受けられる

メリットが色々ある

投資信託とは、投資者から集めた資金を元手に運用会社が運用し、発生した利益を投資者に分配するというものです。簡単に言えば、投資をプロにお任せするということです。

投資信託に投資をすると、プロが投資信託ごとの運用方針に従って売買をしてくれます。運用を任せているこちら側があれこれと考える必要はありません。さらに、投資信託なら自動で分散投資が可能です。

全資金をひとつの株式だけに投資すると、その会社の経営状況が悪化して株価が下がれば大損してしまいます。しかし、投資先を増やすことでこのような事態を防げます。このように「複数の銘柄に投資をする」という投資方法が、分散投資です。

「インデックスファンド」というタイプの投資商品を買うと、それだけで、数百、数千の企業に分散投資をしたことになり、リスクを減らすことができるのです。

そして、税金面でも投資信託が1番有利です。投資信託の場合、分離課税なので税率が大きく増えるおそれがありません。投資信託であればいくら利益が大きくとも税率は一律20.315%。しかも、損益を出した場合の措置もあります。

著者
小林 義崇
2004年東京国税局の国税専門官として採用され、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。2年連続で東京国税局長より功績者表彰を受ける。2017年7月東京国税局を退局し、フリーライターに転身。マネージャンルを中心に書籍や雑誌、ウェブメディアにて執筆。朝日新聞社運営のサイト『相続会議』をはじめ、連載記事多数。2021年9月に一般社団法人かぶきライフサポートの理事に就任し、相続に関する問題の解決をサポートする活動を行っている。
出版社:
幻冬舎
出版日:
2023/3/15

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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