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投資の大原則
バートン・マルキール
チャールズ・エリス
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投資するための原資を作る

「金持ちになる早道は簡単だ。支出を収入より少なくすること。そうすれば、あなたはもうお金を持っている」

まず考えるべきは、投資の原資及び得た資産の使い方。いくらお金があってもお金の使い方次第で破産になってしまったり、あるいはお金がなくて投資に回せる資金がない、という状態でも、投資の余裕を作りだすことはできるのです。

まずは節約をしましょう

節約は、蓄えた資産を再投資し、複利を利用して資産を作るために重要なステップです。

「投資はタイミング」と言われますが、実はタイミングよりもいつから投資を始めるのかということの方が重要なのです。時間を味方につけ、賢く資金を貯めれば、のちに大きな資産として帰ってきます。無駄遣いや収入以上の浪費をやめることはもちろん、クレジットカードの使いすぎには特に注意をすべき。

節約にルールはありませんが、鉄則は「絶対に、絶対に、カードローンを頼るな」。これは絶対に犯してはいけない掟なのです。カードローンを利用すれば利息を払わねばなりません。本来その資金で得られるはずだった利息を支払うのではなく、得る方を考えるべきです。

税制優遇をフル活用する

誰もが税金を多く支払いたいとは思わないでしょう。何百年もの間、節税対策は金持ちが金持ちであるための助けになっていますが、家計運営においても非常に大切なポイントになります。誰でも簡単にできる税制優遇を用いて、払わなくてよい税金を投資に回しましょう。

今から始めても遅くはない?

若い頃から貯蓄ができていなく、さらにはローンもある場合、投資はできないのでしょうか?決してそうではありません。失われた時間を取り戻す唯一の方法は、今すぐ貯蓄計画を立てること。

できるだけ多くを蓄えるために、今すぐ今の生活を少しだけ切り詰めて貯金を始めましょう。住居費や食費、光熱費、交際費、削れる部分は多くあります。家の資産価値の利用による住宅ローンの借り換えなども良いでしょう。

若い頃からの蓄えがない人にとって、老後を金銭的に安定したものにするための基本ルールとは「今すぐ節約を始める」ということです。

シンプルな投資法

新たに投資を学ぶとなると、膨大な投資法の中から取捨選択を行わねばなりません。

シンプルに時間を味方につけ、長期間投資を行うことで利益を上げる方法を解説します。

ポイントは4つ。

①インデックスファンドに投資する

インデックスファンドはアクティブファンドより利益率が低いと思われがちですが、10年以上に広範囲に株式を買うインデックスファンドはアクティブ運用の投資信託の3分の2以上に勝っています。

インデックスファンドの優位性は、S&P500指数に含まれる500社すべてに投資したリターンと、アクティブ運用の投資信託のリターンを比較した際、インデックスファンドが何年にもわたって1%近く平均的なアクティブ運用の投資信託に勝っていることからもみることができます。

運用マネージャーが信用できない、無能であるというわけではありません。運用手数料等により、最終的に利率が下がってしまうというわけです。

②債券でも、インデックス投資に軍配

株式市場でインデックスファンドが有利ならば、債券市場ではインデックス投資はより有利といえます。どんな会社でも、経営状態が悪くなり、満期日に返済できない事態が起こりうるためです。つまり債券でも、分散投資が必要になり、債券投資信託が必要とされる理由です。現実に、アクティブ運用の債券ファンドよりも、インデックスファンドのほうがいつの時点でも成績が良いことは立証されています。

③分散投資でリスクを避ける

「たしかにアメリカが風邪を引くと、他の先進国が肺炎になるという面もあるだろう。大不況は全世界を席巻する。だからといって、先進諸国の経済活動や株式市場の動きがいつもと同じとは限らない」

好景気に沸くアメリカに対して日本が停滞していたように、国際経済は緊密につながってはいるもののすべての市場が全く同じ動きをするわけではありません。

例えばアメリカの市場の中でインデックスファンドにて分散投資をしていたとしても、アメリカ自体の経済が低迷したとすれば、全体的に市場価値は低下します。

そこでヨーロッパやアジアといった他の市場に投資することでさらなる分散投資のメリットが受けられます。例えば資産の中に自動車株を持つのであればメルセデスだけではなく、トヨタやデトロイトなどの株も入れたほうが賢明というように。

④ドルコスト平均法を活用する

時間をかけて、こつこつと定期的に投資すれば、リスクを抑えることができます。一定金額を毎月、または3ヶ月ごとなど定期的に投資をすると、株価が安い好条件のときに確実に自分の資金を投資に回すことができます。

この方法をドルコスト平均法と呼び、株価の高いときには買い付け数量は少なく、株価が低ければたくさん買い付けることができます。リスクがなくなるわけではありませんが、一時的な値上がりのときに全資産を投入するという悲劇を防ぐことができるでしょう。

損をしないために

昨今の複雑な経済状況をめぐって、新聞、雑誌には膨大な情報があふれています。また、金融市場や投資の世界は恐ろしいほど複雑になっています。しかし、投資においてシンプルな方針を貫けば自分を守ることができるのです。長期投資を成功させるための簡単な、9つの基本ルールを紹介します。

①お金は若いうちから定期的に貯めよう

裕福になるための唯一の方法は少しずつ貯めていくだけ。出来るだけ若いうちから始め、それをできるだけ長期間続けるしかないのです。

②会社と国に資産形成を手伝ってもらおう

会社の401(k)または403(b)退職プランを利用しましょう。

③不時の出費に備えて、現金は用意しておこう

多くのファイナンシャル・プランナーによると、定期的な収入のなくなる退職時、生活費として少なくとも6ヵ月分はとっておくのがよいとしています。

④保険をかけているか確認する

保険に入る場合に重要なのはシンプルでコストが低いものを選択すること。数カ月程度の収入をカバーするのは保険に頼らず、自分で積み立てておくほうが賢明かもしれません。

⑤分散投資をすれば心配の種が減る

分散投資はどのような投資でもリスクを減らすことができます。

⑥クレジットカードのローンは使わない

もしクレジットカードで借入をしてしまったなら、できるだけ早く全額返済するように努力しよう。

⑦短期運用への衝動を無視しよう

衝動に駆られて冷静さを失うこと、群集心理に流されることに注意しましょう。

⑧低コストのインデックス・ファンドを使う

長期投資はすべてインデックス・ファンドにしておくといいでしょう。手数料が安く、ほとんどの経費を抑えられ、そのうえ不必要な税金も払わなくてすむのです。

⑨オーソドックスな分野に注目。「目新しい」商品は避けたほうがよい

一般投資家が投資するにあたっては次の3つのシンプルな投資カテゴリーが重要です。

1.普通株、2.債券、3.不動産(自分の家族の居住用住宅への投資)

著者
バートン・マルキール
プリンストン大学名誉教授。ベストセラー『ウォール街のランダム・ウォーカー』著者。大統領経済諮問委員会委員、イェール大学ビジネススクール学部長、プリンストン大学経済学部長などを歴任、大企業の社外取締役も務めた
著者
チャールズ・エリス
大手公的・私的年金・財団等機関投資家向けコンサルタント。30年にわたり国際的戦略コンサルティング会社、グリニッジ・アソシエイツ社長を務める。ホワイトヘッド財団理事長。過去において、バンガード社外取締役、イェール大学財団運用委員長、ロバート・ウッド・ジョンソン財団財務委員長を歴任。またハーバード・ビジネススクール、イェール大学大学院にて上級運用理論を教えてきた。
出版社:
日経BP
出版日:
2018/7/4

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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