ETFとは、比較的新しいタイプの投資ファンドです。米国において、ETFは1993年にニューヨーク証券取引所に上場されました。SPDR S&P500 Trust (SPY)と名付けられたこのETFはS&P500(※)に連動するようにデザインされました。
※S&P500:日本でいうところの日経平均株価のような存在になります。米国株式市場全体の景況や企業株価による500社を連動した指数です。
2015年時点では4,400本を超えるETFが上場しており、それぞれの個別銘柄を購入しポートフォリオを組むよりも取引コストを安くできることが特徴です。
また、貴金属やコモディティなどのETFも存在します(直近では、ビットコインと連動するETFも誕生しました)。ファンドと株式のいいとこ取りとも呼べる存在で、米国においては、新たな投資信託を契約するよりもETFへの乗り換えが人気を博すようになりました。
さて、日本ではまだまだ認知度が低いETF。欧米をはじめとする資産運用や投資家にとって人気となった理由はどこにあるのでしょうか。
ETF以外のファンド(ミューチュアルファンドとクローズドエンドファンドを指します)というのは、ポートフォリオと呼ばれる所有株式や金融資産について四半期や半期に1回しか開示をしません。
逆にETFは指数に基づき所有資産をコントロールしています。
S&P500の指数によって価格が変動するETFであれば、値動きがなるべく近づくように株の購買をコントロールし、日次で状況について共有していきます。
別名、インデックス運用と呼ばれており、指数を目安(ベンチーマーク)にし、それに連動した値動きをします。
銀行で販売するファンドによる投資信託と異なり、取引所に上場することのメリットは複数存在します。まず、取引所に上場していることで日中帯に取引が可能な点。
次は、上場規定に基づいた金融商品ということで、標準化されている点(ETF同士の比較や、新たな口座を開設しなくて良いメリットがあります)。
そして、最後は流動性です。
多くのETFは世界中のさまざまな市場で、24時間取引を行うことが可能です。ポートフォリオを管理し、売買を行う上でその売り買いのしやすさが高いということは、機関投資家だけでなく小口を投資する人にとっても多くのメリットを受けることが期待できます。
ETFとそれ以外のファンドの違いとして、税制メリットもまた重要な要素です(少し難しめの話になりますが、投資信託の場合は、元本払戻金とよばれる特別分配金となる場合がありますが、ETFではそれがありません)。
ETFやファンドごとの手数料の競争を産みました。その結果、段々とファンドの管理費用が低くなる方向に動くなど、投資する側にとってコストを低く設定できる点がメリットとして挙げられます。
ETFは、何もS&P500など著名な指数からなる投資だけが軸ではありません。
たとえば、海外市場の債券、レバレッジ型のコモディティや特定のエクスポージャーなど、最新の金融知識をベースとしたものや、新たな投資テーマに基づくETFが次々と誕生しました。
一般的な投資家ではアクセスしにくい金融データや、そもそも投資テーマに投資したいが、個別企業のレイヤーまで落として検討をする時間がない、もしくは分散した形でポートフォリオを組みたい場合などにも、非常に高いニーズがあります。
あなたが、もしマレーシアやフィンランド、南アフリカなどに大きなビジネスの可能性を見出したとしましょう。おそらくですが、証券口座の開設や実際の投資先情報を集めポートフォリオを組むまでに、色々情報集めに難儀するのではないでしょうか
(欧米の上場株と比較すると手数料も高いことも、頭を悩ませます)。
ETFでは、そういった新興国や国の主要株式をまとめたインデックスもまた存在します。このとき、2点注意が必要です。
まず、欧米の有名な指数に基づくETFと比較すると流動性の担保はまちまちです。急速な値動きの際に、決済ができなかったりするリスクがあるかなど、ETFごとに確認が必要になるでしょう。
また、為替をヘッジするか否かというのも海外構成銘柄のETFにおいて重要な要素です。新興国の為替変動は一部では激しい場合があり、価格変動リスクを受けるか否かは、人それぞれではないでしょうか。
円安がより進むと想定するのであれば、ETFの値上がりと合わせて売却益を得ることはできます。逆に、円高に値動きすると想定するのであれば、ヘッジする方が一般的です。
通貨価値に連動する形で価値が増減するETFのファンドです。このファンドでは、通貨の価格変動により価格が増減します。
外国為替市場での取引が従来よりも低いコストで行えるのが特徴です。
この通貨ETFは、保有による利息が反映されるのも、特徴のひとつです。
社債や国債によって構成される指数をベンチマークとするETFです。
債券ETFは、株式ファンドと比較して10年遅れで立ち上がりました。ただ、市場においてETF自体の認知が高く、非常に高い成長率を見せています。株式ファンドに取って代わる存在となる可能性もありそうです。
ハイイールド社債(通称、ジャンク債)などにも人気が集まっています。
債券は、株式とは異なり金利の構成要素を持っています。また期間が設定されており、満期も存在します。
また、普通株と異なり金利リスクを持つということも頭に入れておきましょう。
最後に、ETFについてまとめたいと思います。金融への造詣が深いとすんなり入ってくる内容ですが、初心者投資家だと金融用語につまずきが多いかもしれません。
大まかにETFの特徴をまとめると以下の通りです。
(1)日経平均株価やS&P500、債券(国債や社債)や通貨、コモディティなどの指数と連動した上場ファンドです。
(2)従来のファンドと異なり、ETFは指数連動のため透明性や流動性が非常に高く、手数料の低さも特徴として挙げられます。
(3)日本ではまだまだ認知度が低いですが、海外においては従来ファンドよりも高い成長をしています。
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