「教育資金」「住宅資金」「老後資金」には、それぞれ数千万単位の金額が必要になります。自分のライフプランの場合、どの資金にどれくらいの金額が必要なのかを明確にしていきましょう。
まず初めに「老後資金」について考えていきます。将来受け取れる年金だけでは、豊かな生活を送ることは難しいため、足りない分を自分で準備する必要があります。
生命保険文化センターの調査を元に老後資金を計算すると、65歳〜85歳までの20年間生きていくためには約2,976万円が必要となります。
老後資金は年金の受給額や生活費の金額によっても上下します。必要資金を減らすには、繰り下げ受給をして年金の受取額を増やしたり、なるべく長く働くことを検討しましょう。
「教育資金」と「住宅資金」もライフプランによって、準備が必要な金額は異なります。
「教育資金」は、幼稚園から大学まで全て公立で通う場合には約784万円ですが、全て私立で通う場合には約2,291万円と1,500万円ほど差があるのです。同様に「住宅資金」も新築を買うのか、中古で買うのか、どこの地域の物件を買うのかなどによって金額も異なります。
また、3大支出の目標金額のほかに生活防衛資金もいくら必要か確認しておきましょう。生活防衛資金とは、突然働けなくなって収入が途絶えてしまったときや突然の出費に備えるお金です。投資で用意するのはリスクが伴うため、預貯金で確保しておくと安心です。
目安としては、病気やケガで働けなくなってしまった場合の生活費として6か月分、結婚祝い金などの急な出費に備える緊急時のお金として1.5か月分の計7.5か月分になります。
目標金額や生活防衛資金が明確になったら、まずはつみたてNISAやiDeCoの非課税枠をフルで活用しましょう。通常であれば、投資をして得た利益からは税金を納める必要がありますが、非課税枠であれば税金負担がなく本来支払うべき税金が手元に残るためです。
また、夫婦で資産形成を行う場合にはそれぞれの非課税枠を利用することで、資産形成の速度が2倍になるというメリットがあります。また、別々の銘柄を購入して夫婦で分散投資を行うことも可能です。
iDeCoの場合は運用益が非課税になるだけではなく掛金の分だけ税金が減るため、つみたてNISAよりも節税効果が高いです。しかし、iDeCoは60歳まで引き出すことができないというデメリットもあるため、必ずおさえておきましょう。
非課税枠を使い切ってしまった後の、投資第2ステージでは「投資信託の追加購入」もしくは「米国ETFの購入」をして資産形成を進めていくのが理想です。個別銘柄の株式投資や不動産投資よりリスクが低く抑えられるためです。
投資信託とETFのどちらを選択するかは、その人のリスク許容度によって異なります。リスクをとって、早く資産形成したい場合はETF。リスクを抑えたい人は投資信託の追加購入がおすすめ。
非課税枠以上に投資をしたいが、リスクはできるだけ抑えたいという場合には、課税口座で投資信託を追加購入していくのが一つの手段です。
課税口座には下記の3種類があります。
・一般口座
・特定口座(源泉徴収なし)
・特定口座(源泉徴収あり)
課税口座は名前の通り、運用益に税金がかかる口座です。利益が出た場合には、確定申告などで納税する手間が発生しますが、特定口座(源泉徴収あり)を選ぶことで確定申告が不要になります。
一般口座と特定口座(源泉徴収なし)の場合は、どちらも確定申告が必要です。特定口座(源泉徴収なし)を選ぶと、金融機関から「年間取引報告書」が交付されるため、一般口座よりも確定申告の手間を軽減できます。
また課税口座で購入する商品は、つみたてNISAやiDeCoでは対象外だった商品も購入できますが、対象外の商品をあえて選ぶ必要はありません。つみたてNISAやiDeCoの対象商品は、金融庁などが選んだ比較的低リスクな商品だからです。
リスクをとってでも資産形成を早めたい人は米国ETFの購入を検討しましょう。ETFとは上場投資信託といわれており、名前の通り投資信託の仲間です。投資信託は1日1回しか値動きしないのに対して、ETFは企業の株価のように価格がリアルタイムで動くのが特徴です。
ETFは投資信託と同じく色々な種類がありますが、米国市場で取引されているVT(全世界株式)やVTI(米国株式)、VOO(米国株式)などがおすすめです。
米国ETFは取引が活発なうえ、運用規模が大きいなど長期保有に向いているためです。
購入方法は毎月一定額を購入していく積立購入ではなく、価格が下がったタイミングでまとまった金額を投資していく方法を取ります。価格がリアルタイムで動いているからこそ、値段が下がったタイミングですぐ購入できるメリットを活かすためです。
投資信託の中には、高いリターンを狙う「アクティブファンド」という商品もありますが、こちらはおすすめしていません。
アクティブファンドはベンチマークとする株価指数などを上回る投資を目指すものですが、実際にはインデックスファンドよりも成績が悪いものが多いためです。アクティブファンドの方が成績のいい年もありますが、運用のプロが銘柄を選別するため信託報酬が高い点に注意が必要です。
具体的にはインデックスファンドが0.1〜0.2%の信託報酬に対して、アクティブファンドは1.0〜1.7%と約10倍近くの差があります。信託報酬は商品を保有している間はずっとかかり続けるため長期投資では大きな差となるのです。
つみたてNISAやiDeCo、課税口座で購入した商品は長期投資を目的としているため、定期的にメンテナンスが必要になります。メンテナンスの方法は「配分変更」と「スイッチング」の2種類です。
長期的に資産を運用していると、値段の上下によって購入していた商品のバランスが崩れることがあります。例えば先進国株式を70%、新興国株式を30%の割合で購入していても、1年後には先進国株式50%、新興国株式50%の比率になっている可能性があるのです。
前述のような状態を元のバランスに戻すために、次に購入する商品の配分を変更することを配分変更といいます。配分変更は、運用方針を変更したい場合にも有効です。
スイッチングとは、自分が保有している商品の一部、または全部を売却して他の商品を購入する方法です。先に紹介した配分変更は次に購入する商品が対象なのに対して、スイッチングは自分が保有している商品が対象になるのが両者の違いになります。
スイッチングを行うタイミングとしては、iDeCoを受け取る年齢が近づいた時などが考えられます。これまで増やした資産を減らさないように、利益確定をして定期預金などの元本確保型商品にしておくことで、値下がりリスクを抑えられるのです。
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