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失敗しない投資のルール
五十嵐 修平
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投資信託・ETF等
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金融機関に相談する危険性

筆者の五十嵐修平さんは、2013年に創業する以前に証券会社に勤務していました。その時ある不条理に気付かされたと言います。それは「ノルマ至上主義」です。

本来、企業の目的というのはお客様に価値ある提案をして、その満足や感謝の対価として利益を得ることにあります。しかし、証券会社は目標を重視するあまり、お客様が取引する際に生じる手数料を営業担当たちが追いかけることが当たり前になってしまっていたそうです。

営業担当のセールストークを信用し、よく考えずに商品購入をしてしまうということも本当に多いです。たとえば、投資信託の場合であれば「テーマ型」や「みんなが買っている」「新商品」などは鉄板キーワードでしょう。

たとえば直近ではアフターコロナの注目株をはじめとするテーマもよしわるしでしょう。世間が盛り上がっているなら買うべきだと思うでしょうが、世間の関心度合いとその関連商品のパフォーマンスは必ずしも一致するとは限りません。

また、営業担当者の爽やかで明るい人柄を評価し購入する人も少なからず存在します。しかし、どの商品も基本的にはリスク商品。元本を割ることもあり、こんなはずじゃなかったという事態になることも少なくありません。

そうした状況を防ぐために投資を始める人であれば、最低限のマネーリテラシーは持つべきなのです。

投資信託がおすすめの理由

マネーリテラシーの観点で、下記の2つのポートフォリオのどちらがパフォーマンスが良いでしょうか。

【A】ポートフォリオ  X社(年6%UP) 100株

【B】ポートフォリオ  X社(年6%UP)  50株

                Y社(年2%UP)  50株

パフォーマンスが良いのは、もちろんAですよね。しかし、X社が倒産してしまったと仮定しましょう。そうするとAは運用額全てを失うことになり、破産してしまいます。

パフォーマンスを追うあまり、1社や1つのテーマに集中してしまうと、50代以降で失敗してしまったら、復活することはなかなか難しいと言えます。

投資信託では、複数の株式を少しづつ持って運用するスタイルが基本です。たとえ1社が倒産したとしても、全体が上向きならば黒字になることもわかります。元本も1万円から始めることができ、はじめての投資においてはハードルの低い投資信託でプロに任せるというのが選択肢として最適なのです。

一括投資と積立投資の使い分け

投資信託の買い付け方法は、まとまった資金で購入する一括投資と、毎月きまった資金で購入する積立投資に大きく分けることができます。大きな資金がない若い世代は毎月の収入からの積立投資。それなりの資金があるミドル世代は一括投資が基本です。

ゆるやかな上昇カーブを10年の株式市場が描き、手元に1000万円があったと仮定しましょう。(1)一括投資 であれば10年間その上昇トレンドに乗ることができます。(2)分割投資 であれば、1年に100万円を10回づつ購入する機会があります。しかしながら、(2)だと10年あたりの平均運用額は(1)に比べて半減してしまうのです。

なぜ投資信託保有者の半分が損失を抱えるのか

ある程度の投資リテラシーがある人となると、投資信託に対してなかなかにネガティヴな印象を持つ人も多いでしょう。「投資信託は儲からない」「手数料が高い」「失敗談が多い」といった感想を持つ人も少なからずいると思います。

そうした印象を裏付ける調査結果も事実存在します。金融庁が銀行29行に調査をしたところ、2018年3月時点で投資信託を保有するお客様の46%が損失を抱えているというのです。

内訳を見ていくと、「保有期間が短かった人ほど損をしており、長期保有した人は損失を抱える人が減った」というデータもあり、投資信託については運用に時間をかけることが必要だということがわかります。

また、保有期間を5年と20年で設定したとき、短い場合は投資収益率の上振れと下振れが起きマイナスになる場合もあります。しかし、20年以上の保有の場合は大体年率8%で収れんされていくためマイナスにならず、大体100万円が185〜321万円の運用成果となっています(平成27年のレポートより)。

長期保有すれば、おおむねプラスに転じる投資信託。にもかかわらず、半数近くがマイナスになる理由。それは、保有期間が短すぎるという点に終始します。投資信託の平均保有年数は、なんと2.5年と言われています。

利益が出た際に、金融機関に言われるがままに「テーマ型」や「みんなが買っている」「新商品」への乗り換え運用を提案させられ、運用成果の低い投資信託に、結果的に飛びついてしまい損失を抱えやすくなってしまうのです。

適切なパーソナルトレーナーを見つけると運動がより捗るのと同じく、お金のメンターを探し出し、運用を続けるということも一つの方法です。

年齢と運用

投資信託を軸にリスクを分散させていくのとともに、年齢別のフェーズで実施する内容を変えていくこともまた大切です。

(1)現役時代

攻めの資産運用として、株式型の投資信託を中心に「資産形成」を行う。

(2)50〜70歳まで

株式型の投資信託だけでなく、徐々に守りの資産である債券の割合を増やし分散しながら「資産運用」を行う。

(3)70歳以降〜

セカンドライフの充実のために運用資産を取り崩しするか、次の世代に残すために定期的に見直しながら運用する。

(3)に向かうにつれて、運用パフォーマンスよりも安定的な運用を行い、定めたゴールに向かって行くことを目指すという考え方です。コア投資の基本は、分散であり「銘柄」「時間」「値動き」の3つを軸に、分散運用を行なっていきましょう。

著者
五十嵐 修平
株式会社バリューアドバイザーズ 代表取締役社長。大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。2013 年 2 月に株式会社バリュー アドバイザーズを設立。IFA(独立系ファイナンシャ ルアドバイザー)として、お客様目線で価値ある提案を常に心がけている。日本経済新聞、賃貸住 宅新聞などメディア出演も多数。
出版社:
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
出版日:
2021/07/09

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

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