専門家が選んだマネー本を時短学習
年収200万からの投資生活宣言
横山 光昭
#
マインド
#
投資信託・ETF等
quotes
No items found.

投資生活を考えよう

貯金がムリなくできるようになったら? 

貯金がムリなくできるようになったら、これからもひたすら貯金に励むか、貯金をしながら「増やす」に踏み込むか、という2つの道に分かれる。この選ぶ道次第で、保有する金額に大きな差がついてくる。

「増やす」を実践するためには「投資」が必要となるが、投資を「利益を得る目的で金融商品や事業などに資金を投下すること」とだけ考えていないだろうか。

本当の意味での投資とは、「自分の成長を助けるもの、未来の自分を育てるもの」と、もっと広い意味でとらえられる。

実際「投資」が上手な人は金融商品への投資だけでなく、人や経験、モノなどにもしっかりとお金と時間を使っている。「投資生活」とは、

「お金を育てる」「自分を育てる」

ということなのだ。

「守るお金」と「攻めるお金」

お金には「守るお金」と「攻めるお金」の2種類がある。

「守るお金」とは、自分や家族が生活していくためのお金だ。手元にある現金や普通口座にある生活費用の預貯金などがこれにあたる。有事に備えて年収の半分程度の貯金も「守るお金」としておきたい。

一方、「攻めるお金」とは、それがなくなっても生きていけるお金のこと。投資をしてリスクを取りながら増やしていくお金も「攻めるお金」だ。

投資の世界において、リスクは危険性という意味ではなく、「不確実性」と考えられている。

銀行の預金金利が低迷して長期間預けていてもいっこうに増えず、インフレや円安が急激に進む可能性のある日本社会は「何もしないことこそがリスク(不確実)」である。

家計防衛の手立ての1つとして、年収や資産の大小にかかわらず、「投資」を考えることが必要な時代になってきている(もちろん家計が赤字でないこと、貯金ができていることを大前提とする)。

ヨコヤマ式投資生活

「ヨコヤマ式投資生活」は、自転車と考えてほしい。貯金生活を徒歩と考えると、徒歩より少しだけ早く進み、できる限り安全に(リスクを抑えて)、少しずつ距離(お金)を増やしていく。

大金を元手に、ハイリスク・ハイリターンを目指す投資方法ではないことを覚えておこう。

どんなに元手が少ないにしろ「投資」にはリスクを伴うことが、貯金との違いである。そのため、年収の半分が貯められているかどうかを、投資生活スタートの基準にしよう。

例えば年収200万円の人は、その半分の100万円を「守るお金」として考え、毎月貯金する2万円のうち半分を投資に回す、というイメージ。もし貯金が150万円まで貯まっても、投資に回せる額は50万円までだ。

そして、初心者の人は最初から儲けや利益を求めず、損を覚悟して「まずはやってみる」こと。最低限の知識を持ったら、実践で学んでしまう方が収穫は大きい。

高いリターンを求めてリスクを取ったのにこれしか増やせなかった、怖がりだと思っていたが意外と自分は大胆だったなど、新たな自分に気づくかもしれない。

自分なりの許容範囲が定まってきてから、いろいろな投資方法を検討していくのがいいだろう。

初めてならこれだけでOK! 積立投信

初心者のルール

投資はそう簡単に大儲けできるものではない。「地道にコツコツ、少しずつ」という貯金と同じような心構えが必要だ。

投資を本業にする人たちは、一様に研究熱心で知識量も豊富。彼らと同じ利益を出そうと「投資」にのめりこまないこと。投資を始めてからも生活の基盤である「貯金生活」は平行して続けなくてはならない。

投資を細く長く続けていくのに大切なのは大勝ちすることではなく、負けないこと。初心者にはそれなりの“負けにくい”投資法がある。

ヨコヤマ式投資生活の極意

それでは「投資生活」を始めていくにはどういった点に注意すればよいか。「ヨコヤマ式投資生活」の極意を4つ紹介する。

(1)分けて散らす

投資は、1つの金融商品に集中せず、なるべく種類を分けて持つ「分散投資」が大切だ。

分散投資のポイントは、日本・外国・株式・債券をそれぞれ略した「ニチガイカブサイ」。投資する資産の種類を「日本のもの」と「外国のもの」、「株式」と「債券」に分けることがコツである。

(2)コツコツ積み立てる

毎月少しずつの金額で「積立」をする方法なら、低額でスタートでき、高価格で金融商品を購入する危険性も防げる。値上がりしたときは少なく、値下がりしたときにたくさん買えるというメリットもある。

(3)長い目で考える

投資はとにかく長期で考えよう。

金融商品の価格は動くものだと心得て、目先の価格に一喜一憂しないこと。苦労なく、手間もなく、ストレスもなく、コツコツ続けるには、長い時間をかける投資がベストだ。

投資の世界では「市場は伸びていくものである」という大前提がある。世界的な経済発展に合わせ、市場は少しずつだが成長している。長期間保有し続けることで、恐慌や暴落を乗り越え、市場成長の恩恵にあずかれるのだ。

(4)手数料を意識する

投資の対象となる金融商品は、販売手数料や株式売買手数料、信託報酬(投資信託の管理にかかる手数料)などがかかる。商品によって手数料は変わるので、これらの手数料をいかに抑えられるか、ということが重要になる。

簡単&安全な投資法は? 

前述した4つの極意を実践しやすい金融商品が、投資信託の一種である「インデックスファンド」という商品だ。

投資信託とは、「投資家から集めた資金(ファンド)を、投資のプロが、株や債券などで運用し、成果に応じて収益を投資家に分配する」金融商品。

インデックスとは、証券市場全体や特定の証券グループでの株価の指標を指し、インデックスファンドとは、インデックスに連動する値動きをめざす投資信託のこと。

インデックスファンドは、「分けて散らす」「コツコツ積み立てる」「長い目で考える」「手数料を意識する」の条件を満たせる便利な金融商品なのだ。

インデックスファンド 何を買えばいい?

インデックスファンドにおいても「分散投資」が基本だ。ニチガイカブサイの法則に従って分散で持つようにしよう。持ち方としては大きく分けて2つある。

(1)プロにやってもらうバランス型(グローバルバランス型)

すでにニチガイカブサイの法則どおりに組み合わせてあるファンドを持つやり方だ。

利回りは低くても安全なものがいい、貯金のように手軽に始めたいという方には、「バランス型」の積立タイプのインデックスファンドがおすすめである。

日本も含む全世界の株式や債券などを、バランス良く分散させてパッケージングされている商品で、グローバルバランス型ともいう。資産のバランス配分の再調整(リバランス)も運用会社が行ってくれるのがメリットである。

ただし、コストには注意しよう。証券会社や銀行の店頭で販売されている「積立投信のバランス型」は、場合によっては毎年2パーセント前後の手数料がかかるため、販売手数料がかからない「ノーロード投信」を選択するようにしよう。

(2)自分で組み合わせ型

複数のインデックスファンドを自分で選び4つの資産に分散して購入する方法。。

手間はかかるが、「バランス型」よりも利回りが高くなる可能性がある。自分で考える分、格段に投資力がつくだろう。

まとまったお金を投資するなら

ここでは、ある程度まとまったお金(100万円等)がすでにあり、それを投資してみたいという人におすすめの方法を紹介する。「まとまったお金の投資」の場合、低額を積み立てるよりハードルが上がる。

そのため、「年収分の貯金+年収の半分以上の余裕資金があること」が大前提。年収200万円の人なら、すでに200万円の貯金があり、それとは別に100万円以上の余裕資金があることが条件である。

また、分散投資も必須だ。

まとまったお金で買いたい5つの商品

比較的リスクが低く、初心者にも始めやすい5つの金融商品を紹介しよう。

(1)通常の(積立型ではない)インデックスファンドを組み合わせて持つ

先ほど紹介したインデックスファンドを積立ではなく通常の方法で買う。リスク軽減のため、ニチガイカブサイの方式には従うように。

(2)ETF(上場投資信託)

ETFとは、証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託のこと。

株価指数などへの連動を目指す点はインデックスファンドと似ているが、利回りがインデックスファンドよりも高めで、安定しており、信託報酬も安い。

(3)個人向け国債

日本政府が発行する債券である国債は、安全性が高い点が魅力だ。最も一般的な個人向け国債は、手数料がかからず1万円から始められる。

(4)外貨MMF

MMFは投資信託の一種であり、公社債や、コマーシャルペーパー(企業発行の短期約束手形)といった短期の金融資産を中心に組み入れている。

外貨建ての金融商品を組み入れているものが外貨MMF。円建てMMFよりも金利が高いものが多く、解約がいつでも可能な点が魅力だ。ただし、元本割れのリスクは少ないが、為替リスクやカントリーリスク(国の信用リスク)を伴う。

(5)MRF

公社債投信の一種であるMRFも、投資信託の一種でローリスクな金融商品である。

国債や社債といった金融商品の中でも、かなり安定性の高い債券のみで運用されている。

投資信託の一種なので元本保証ではないものの、安全性の高いもののみで運用するため、ほとんど元本割れすることがない。MRFは現金に近い存在で、「攻めるお金」の中にある投資のための軍資金というイメージだ。

こんな投資はやってはいけない!

注意したい投資についても3つ紹介する。

(1)毎月分配型投信

1カ月に一度分配金が出る投資信託だが、おトクに見えて本当は損ということも多い。運用の収益ではなく元本を削って分配金を捻出するケースや、分配金を出すために無理な運用をするケースもある。

(2)不動産投資

マンションやアパートなどのオーナーになる不動産投資の多くは、高額の資金が必要でリスクも高い。何千万という資金を投入して、実質利回り2~3パーセントということも。

(3)外貨預金

為替相場での変動が大幅に損益に影響し、相場予想はプロでも難しい。外貨に換える、円に戻す際の「為替手数料」が高い。

自分への投資で幸せな今と未来をつくる

これまで「お金を育てる=お金への投資」を紹介してきたが、ここでは「自分を育てる=自分への投資」についても見ていこう。

自分への投資が最もリターンは大きい

「お金への投資」と「自分への投資」のバランスを上手にとることが、満足した日々に繋がる。

自分自身だけではなく家族や大切なひとたち、あなたを支えてくれるものや経験も、お金や時間を費やす対象となる。

自分自身の成長や他者からの感謝によって、ポジティブな感情に満たされ、それはいきいきと過ごす活力になる。自分の気持ちを前向きに保つことが、幸せに暮らす秘訣でもあるため、「自己投資」は大切なのだ。

お金と自分の関わり方を考える

投資を考えるうえで決めておきたいのが「お金との関わり方」。「自分はどう生きていくのか」を考えておく必要がある。やみくもに「たくさんのお金が欲しい」だけでは、貯金も投資もうまくいかない。

自分なりの価値観に基づいた投資をして初めて「あなただけの投資」となるのだ。「自分軸」という武器を持っておくことが大切だ。

「投資」の定義

「投資」の基準もしっかり把握しておこう。

つい自分に甘くなる人はお金を使うときに、その使い道を「投資」という分類に入れてしまう。

「投資」だと言い訳をするのではなく「浪費」あるいは「消費」なのだと認識してお金を使うことが非常に大切だ。

今必要なものは「消費」、必ずしも今必要ないが今後何らかの役に立つものは「投資」と考えよう。「浪費」は収入の5パーセントには納めておきたい。

お金の代わりに労力・時間・経験を役立てよう

セミナーや習い事など、自身の成長や経験のためにお金を使う「自分への投資」は大切だが、「お金を使わない自己投資」も、ものすごいパワーを発揮する。

お金の代わりに、自分の労力や人脈・経験や技能・思いやりを使うのだ。

やり方は簡単で、時間や労力を費やす対象を、以下の4つに分類する。

・自分、家族:家族を含めた自分

・人(他人):自分と家族以外の人

・モノ:実際の品物

・経験・時間:体験したことや、過ごした時間

この分類に沿って、思いやりを使っていく。これは物理的な効果が出ないこともあるが、良いことをするとめぐりめぐって自分にかえってくるものだ。

身近な人の精神状態を良くしてあげられるようになると、自分にとっても快適な環境になるのである。

コツコツ地道に頑張る人がいちばん強い

現在は、よりよい未来を選ぶために、お金ときちんと向き合って、必要な資産を作り上げていくことが大切な時代となった。お金を持つということは、やはり強いパワーなのである。

やり方さえ間違えなければ、限りなく貯金に近い、「コツコツ地道に」という手堅い投資ができる。

何よりも自分自身を大切にし、自分に投資をしていくことがより確実なパワーにつながる。お金の面でも、心の面でも、どんな時代も生き抜いていけるタフな自分を育てていこう。

著者
横山 光昭
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの家計相談数は2万4000件を突破。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。著書は100万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は173冊、累計386万部となる。
出版社:
ディスカヴァー・トゥエンティワン
出版日:
2013/06/14

※Bibroの要約コンテンツは全て出版社の許諾を受けた上で掲載をしております。

同じカテゴリーの本

book images
つみたてNISAとiDeCo次の投資は?
#
iDeco / Nisa
#
投資信託・ETF等
book images
金持ち父さん 貧乏父さん
#
マインド
#
副業・キャリア
#
ベストセラー
#
専門家の推薦
book images
投資の大原則
#
ベストセラー
#
マインド
book images
なぜ金利が上がると債券は下がるのか
#
知識・教養
#
投資信託・ETF等
book images
株が上がっても下がっても稼ぐ投資のルール
#
マインド
#
株式
#
専門家の推薦
book images
月1500円のETF投資
#
投資信託・ETF等
book images
ユダヤ富裕層13歳までに学ぶお金のルール
#
新着
#
節約・貯金
#
マインド
book images
マネーという名の犬
#
ベストセラー
#
マインド